マイコプラズマ抗体の検査方法と基準値!数値の解釈についても!
マイコプラズマは、マイコプラズマ肺炎の原因となる菌として知られていますが、近年は子供だけではなく大人が感染し、重症化してしまうケースが増えています。
そんなマイコプラズマに感染したかどうかを確認する方法として、血液を採取して抗体の量を測る検査がありますが、抗体PA法やCF法などといくつかの種類がある上に数値の表し方も独特で、わかりづらいものです。
また、それぞれの検査で基準値が異なり、結果を聞いてもよくわからないという場合が多いようです。
そこで、今回はマイコプラズマ抗体の検査法について、種類や数値の見方、そして最近登場した新しい検査法などを詳しくご紹介していきます。
目次
マイコプラズマの検査方法にはどんなものがあるの?
マイコプラズマの検査方法には、CF法、PA法、イムノカード法といった、マイコプラズマに対して作られた抗体を調べる方法が主に取られます。
中でも、一般的に使われるのはPA法という方法で、その理由は発症直後でも反応が正しく得られやすいことと、検査精度が高いことです。
なお、これらの検査はすべて血液検査となり、病院によっては検査設備がないために外部に検査を委託することがあるので、結果が出るまで時間がかかる場合があります。
ただし、イムノカード法は病院内でもチェック可能な迅速検査ですが、その信頼性を疑問視する声が上がっており、あまり積極的に使われてはいないようです。
■マイコプラズマの検査方法はなぜややこしいの?
マイコプラズマの検査方法がいくつもある理由は、通常の血液検査ではマイコプラズマに感染したかどうかがわからないからです。
というのも、通常の細菌感染であれば、通常の血液検査をすれば白血球の数値などに炎症が起きていることを表すサインが出るのですが、マイコプラズマではそれらの値があまり上昇しないので、ただの風邪なのかマイコプラズマに感染しているのかということが判断できません。
そのため、マイコプラズマに感染した時に体が免疫反応によって作り出す何種類かの「抗体」の量を見る特別な検査をすることで、マイコプラズマへの感染を判断しています。
そのため、どの抗体を検査するか、いつごろ検査するかといった点でいくつもの検査法が存在しているのです。
マイコプラズマ感染の基準値とは?
マイコプラズマに感染しているかどうかの基準値は、検査方法によって異なります。
具体的には、CF法では4倍以上、PA法では40倍以上で陽性となり、マイコプラズマに感染していると判断されます。
しかし、この値はペア血清といって、感染初期(症状がある急性期)と回復期(急性期からおよそ2週間後)の2回に渡って採血を行い、どれだけ抗体の量が上昇したかという値になります。
ちなみに、実際には1回の採血のみで判定を行う場合の方が多く、その時にはCF法であれば64倍以上、PA法であれば320倍以上がマイコプラズマ陽性と判断されるようです。
■検査数値の「○倍」ってどういう意味なの?
PA法などのマイコプラズマの抗体検査で出てくる「64倍」などの数値は、「抗体価」と呼ばれています。
これは、採取した血液サンプルを元の濃度から1/2、1/4、1/8…と2倍ずつ薄めていき、抗原(今回の場合はマイコプラズマ)と反応させて、どれだけ薄めた血液で抗体が作られるかという値です。
つまり、薄い(量が少ない)血液でも反応が出れば、それだけ「抗体が血液中に多く存在している=抗原も多く存在している」ということになります。
例えば、順に薄めていって1/128まで血液を薄めたら抗体が作られなくなった場合、抗体価は64倍です。
ですので、先程ご紹介したPA法での1回限りの採血で陽性となる「320倍」というのは、「320倍に薄めた血液でもマイコプラズマに対して反応が出ている状態」ということになります。
また、PA法での2回採血の場合には、「1回目と2回目の間に抗体の40倍以上の上昇がある」ということですので、例を挙げれば1回目の結果が4倍であった時、2回めは160倍以上で陽性となります。
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血液検査がいらないマイコプラズマの検査方法って?
さて、ここまでにご紹介したマイコプラズマの検査はすべて血液採取が必要なものでしたが、実は血液検査をしなくてもマイコプラズマに感染しているかがわかる検査もあります。
まずひとつは、「LAMP法」と呼ばれる検査で、これは喉をぬぐった液を遺伝子検査してマイコプラズマに特有の遺伝子を探すもので、精度は非常に優れているのですが、実施することができる施設が限られている、検査に2~3日程度の時間がかかるといったマイナス点があります。
もうひとつはインフルエンザのような迅速検査キットによる検査で、LAMP法よりは精度が劣りますが、キットに喉をぬぐった液を垂らすことでマイコプラズマの陽性・陰性が10~20分程度で確認できます。
しかし、迅速検査キットによる検査は喉に菌が少ない時や咳が少ない時には正確な結果が得られないこともあり、より正確に知りたい場合にはPA法やLAMP法との組み合わせで判断を行う場合もあるようです。
まとめ
いかがでしたか。
マイコプラズマの抗体検査にはCF法やPA法があり、そのうちよく使用されるPA法での検査基準は血液検査1回であれば320倍以上で、2回であれば1回目と2回目の間に40倍以上の上昇が見られたら陽性となります。
しかし、最近では血液検査をしない迅速検査や遺伝子検査などもあり、どの検査方法を使用しているかは病院によって違ってきます。
ですので、どのような検査をするのかを事前に確認し、医師から説明をしてもらうことをおすすめします。
また、陰性であっても安心せずに、免疫力を高めてマイコプラズマの感染予防を心がけたいものですね。
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