血圧低下の原因とショックなどの症状や危険値!高齢者の場合も

正常の血圧から大きく血圧が下がった状態を指す「血圧低下」ですが、症状によっては生命の危機に至る可能性もあり、安易に考えてはいけません。

なので、血圧低下の原因で病気や薬、めまい・嘔吐・冷汗などの症状、尿の量や頻脈などの危険値、ショックなどについて知りたいのではないでしょうか。

それから、血圧低下の時の対応で点滴や下肢挙上、死亡する可能性なども気になりますよね。

そこで今回は、血圧低下の原因とショックなどの症状や危険値、また、高齢者の場合などについても詳しくお伝えしていきます。

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血圧低下の原因や症状は?高齢者の場合も

血管が動脈壁を押す圧力を示す血圧は、循環器系の疾患の予防や疾患の可能性を図るため、広く計測されており、患者の生命に関する最も基本的な情報(バイタルサイン)の一種で、そのほかのバイタルサインは心拍数、呼吸、体温だそうです。

そのため、癌の患者などの余命を正確に把握することに関しても、血圧は重要なバイタルサインの一つとして参考にされています。

そして、血圧を決める要因は、心臓の活動性を現す心拍出量と、全身の血管の緊張度を現す末梢血管の抵抗で、これらが上がると血圧も高まるそうです。

それから、血圧は血液を送り出すために心臓が収縮した時に最大となり、心臓が一番ふくらんで弛緩した時に最小になるので、前者を収縮期血圧、後者を拡張期血圧と言います。

そして、血圧の基準値というのは次の通りとなっています。

・ 新生児:60~80 / 50mmHg

・ 乳児:80~90 / 60mmHg

・ 幼児:90~100 / 60~65mmHg

・ 学童:100~120 / 60~70mmHg

・ 成人:110~130 / 60~80mmHg

それから、成人の場合、この基準値以上になると高血圧で、基準値に満たない場合、収縮期血圧が100~110mmHg未満であれば低血圧と定義されていますが、正常血圧は患者によって異なるので、血圧低下では低下の幅がどれくらいかが重要な要素となります。

そして、血圧低下では全身に血液が循環しなくなることが問題で、全身に血液が循環しない場合は臓器や細胞に酸素、栄養が行き渡らなくなるので、次のような症状が現れます。

・ 気分不快

・ ショック

・ 意識消失

・ 四肢の痺れ

・ めまい

・ 全身倦怠感

・ 顔面蒼白

・ 冷汗

・ 不整脈

・ 動悸、息切れ

・ 嘔吐

・ 徐脈

・ 頻脈

・ 尿の量の減少

こうした低血圧による症状は、日常的に感じていたとしても高血圧ほど気にしない方が多いようですが、実は脳梗塞や心筋梗塞などの死亡率が高くなってくることが分かってきたそうです。

そして、低血圧には気温の変化などにより突然起こる急性と、常時血圧の低い状態が続く「慢性」に分かれますが、慢性低血圧には、起立性低血圧や食後性低血圧、入浴時低血圧の3つがあり、特に怖いのが起立性低血圧です。

それから、起立性低血圧とは横になった状態から立ち上がった時に上の血圧が21mmHg以上下がるような状態が続くことで、こうした症状を抱える方はそうでない人に比べて心疾患、脳卒中などの死亡率が約2倍もあるそうです。

そのため、たかが低血圧といって慢性的な症状が現れているにもかかわらず、放置していては非常に危険です。

血圧低下の原因は?

血圧低下には、次のように色々な原因があると考えられています。

1、 遺伝的な要因や体質によるもの

血圧低下の原因は、遺伝や体質によるものが大部分を占めますが、両親や親戚などに低血圧の方がいる場合は、遺伝の可能性が高いそうです。

また、虚弱体質や若い女性、やせ形などの体質によっても血圧低下が現れることが分かっていて、猫背や肩こり、頭痛持ちや顔が青白いといったことが見られ、これらは全て血液循環が良くないために現れるものです。

こうした病気などの明らかな原因のない低血圧を本態性低血圧と言います。

2、 病気が引き起こすもの

低血圧は病気が引き起こしている場合もあり、次のような病気に関連して血圧低下が起こることが分かっています。

・ 循環器系疾患

心筋梗塞、不整脈、心筋症、心筋炎、大動脈弁狭さく症、肺塞栓症、出血、貧血

・ 内分泌疾患

甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、副腎不全、低血糖

・ 神経疾患

糖尿病性神経障害、脳腫瘍、多発性硬化症、パーキンソン病

・ 栄養障害

悪性腫瘍による低栄養状態、胃・十二指腸潰瘍などによる栄養障害

・ 代謝性疾患

低ナトリウム血症

このほか、アジソン病などのホルモンの疾患がある方も血圧低下を起こしやすいそうです。

3、 自律神経やホルモンの乱れ

自律神経やホルモンバランスの乱れと血圧低下には深い関係があり、特に自律神経が乱れて交感神経にスイッチが入らず、副交感神経が優位の場合、血圧をうまく上げることができません。

そのため、朝寝起きが悪かったり、午前中に体調が優れなかったりといった症状が現れるのですが、特に急に立ち上がった時や、長い時間経ち続けているときにめまいを起こすことが多く、このような血圧低下のことを起立性低血圧といって、前述の通り心筋梗塞などによる死亡率と関連性が高いとされています。

こうした起立性低血圧は、高齢者が病気の時に脱水症になり、脱水症が血液量を減少させることで起こりやすく、高齢者の場合は3人に1人で症状が出ると言われています。

それから、アドレナリンやノルアドレナリンといった副腎髄質から分泌されていて、血管を収縮させる作用があるホルモンは血管を収縮させる作用があり、交感神経が刺激されると血液中に多く出て、血圧を上昇させます。

このほかにも、切り傷や外傷による出血、事故や発作で鈍的外傷による出血、胃腸管や子宮外妊娠の破裂による内出血などによって循環血液量が減少し、血圧が低下することもあります。

また、過度の下痢、重度のやけど、過度の発汗による脱水も循環血液量が減少する原因になりますし、精神安定剤や降圧剤などの薬物による影響も考えられるそうです。

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血圧低下の場合の対処法は?

急激な血圧低下は、ショックを引きおこす原因にもなるとされており、ショックとは循環が破綻することで全身に血液が行き渡らない障害に陥り、組織の酸素代謝障害を起こした状態のことを指します。

そして、細胞死や臓器障害、多臓器不全となり生命の危機に至ることもあり、迅速な処置、治療が必要とされています。

こうしたショック状態に陥っているかどうかの判断基準としては、ショックの5徴候といって

・周囲に無関心で無欲状態

・顔面蒼白

・冷や汗

・脈が弱く速い(頻脈)

・呼吸不全

などが挙げられます。

そして、血圧の値は90~100mmHg以下となり、脈拍が減少し、静脈虚脱、呼吸頻拍、尿量も25mg/hr以下となるので、これらが危険値となって臨床症状の判断要素とされています。

それから、病院ではこうした症状の場合、解熱剤の使用や体位変換、輸血など、急激な血圧低下が起こりやすい原因の中でどれに当たるかによって、点滴による急速輸血やステロイド、利尿剤などの医薬品を使用して対処するそうです。

また、これまで血圧低下の患者への対応策として、下肢挙上といって足を上げて、静脈を増加させて脳血流を維持するという応急処置が考えられてきましたが、近年では下肢挙上をすることで血圧が変化するという証拠が得られないという論文が多く発表されています。

それに、下肢挙上は鬱血性心不全の方には禁忌となっており、足を上げると心臓から血液が送り出せない上に多くの血液が心臓に戻ってくるため、心臓に負担がかかりますし、閉塞性動脈性硬化症など下肢の血流が悪い患者の場合でも末梢の血流障害が起こる可能性があるそうです。

そのため、下肢挙上に関しては素人が個人の判断で行わず、必ず医師の指示を仰いで正しく対処するようにしてください。

血圧低下しやすい方の日頃からできる対応策は?

血圧低下は、ふとしたきっかけで急激に起こり、ショック症状に陥ると個人の対応では対処しきれなくなり、命を落とすことも珍しくありません。

そのため、普段から血圧が低いという認識がある方は、

・ 水分補給をこまめに行う

・ ストレッチをする

・ 塩分を積極的に摂る

・ 体をお風呂で温める

といったことをできるだけ習慣化するようにしましょう。

そして、人間の血液の80%は水分でできているので、水分不足や塩分不足を解消すると血圧低下を免れますし、ストレッチによって手足の血流を良くすることも良いそうです。

それから、お風呂に入ると交換神経を刺激することができて血流を改善することができるため、10分程度だけでも、42℃程度のお風呂に入ることを習慣化しましょう。

また、コーヒーなどの利尿作用のあるカフェインを摂ることも血流改善に効くそうです。

そして、立ちくらみがしたり、フラフラする場合は無理をせず、その場に座って安静にし、意識があるからといってまた動こうとせずに慎重になりましょう。

それから、急に手足が冷たくなったり気分が悪くなった時は血圧が低い時に起こる症状なので、このような時は頭を下にするなどして、体を温めるように心がけてくださいね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、血圧低下の原因とショックなどの症状や危険値、また、高齢者の場合などについても詳しくお伝えしました。

意識消失やめまい、ふらつき、ひどい場合だとショックなどの症状を引きおこす血圧低下の原因には、遺伝的な要因、様々な疾患以外にも、自律神経の乱れやホルモンによる影響も多く、特に高齢者の場合は脱水による起立性低血圧というのになりやすく、最悪の場合死亡することも珍しくないのでした。

そして、ショックなどの症状が起きた場合、血圧や尿量の危険値、その他の判断材料をもとに診断し、病院では点滴での輸血や尿剤などの薬を使って対処するとのことでしたね。

また、こうした血圧低下は、慢性と急性があり、慢性に関してはたかが低血圧とたかをくくっていると、死亡率との関連性も高く、安易にとらえては危険なので、日頃からできる生活習慣の見直しで少しずつ改善していくようにしましょう!

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