糖尿病の原因の種類と割合!食べ物以外で危険なのは?女性の場合も

%e7%94%bb%e5%83%8f1糖尿病は、インスリンというホルモンの異常によって血糖値が高くなることで全身にさまざまな障害が起こり、膵臓の機能異常が原因の1型と食事などの生活習慣から起こる2型がある病気ですが、その2型の原因が具体的にどのようなことなのかをご存知ですか?

中には、糖尿病はお菓子などの甘いものによって起こると考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それ以外の塩分の多い食べ物やビールなどのお酒も糖尿病の原因となってしまうことがあるんです。

また、糖尿病の原因にはストレスや遺伝、高血圧などとも密接に関わっていると言われており、その仕組が気になりますよね。

そこで今回は、糖尿病の原因について、その仕組みや割合、またステロイドなどの薬剤による糖尿病や、女性特有の糖尿病の原因などについてもご紹介していきます。

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糖尿病とはどんな病気?

■血中の糖の濃度がコントロールできなくなる病気

糖尿病とは、膵臓で作られ、血液中の糖の濃度(血糖値)をコントロールするホルモンのひとつであるインスリンが正常に作用しなくなることによって血糖値が異常に高い状態が続き、それによって体にさまざまな障害が起こる病気です。

というのも、インスリンには筋肉などに糖を取り込んで血糖値を下げる働きがあるのですが、これが正常に働かなくなると、通常は筋肉などに取り込まれてエネルギーとして使われている糖がそのまま血液中に残ることになり、それが原因となって動脈硬化などの血管障害を引き起こすからです。

そして、動脈硬化などから生じる合併症として、痛みなどが感じにくくなるなどの神経障害や、視力の低下などを引き起こす網膜症、腎機能が低下する腎症といった障害が出てきます。

なお、糖尿病は遺伝子や薬剤の影響によって起こるものの他に、膵臓のインスリンを作る機能が失われる1型糖尿病、生活習慣などのさまざまな要因でインスリンの分泌が減ったり、作用が低下する2型糖尿病などに分けることができます。

糖尿病の原因とは?

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■肥満

肥満のみが糖尿病の原因ではありませんが、肥満の人が増える40~50代では糖尿病やその疑いのある人の割合が大きく上昇します。

そのため、肥満は糖尿病の大きな原因のひとつであると言えるでしょう。

なお、肥満が糖尿病の原因となる理由としては、主に次のようなものが挙げられます。

・偏った食生活

お菓子や甘いものをはじめとしたカロリーの高いものやパンやご飯といった炭水化物ばかりを好んで食べていると、体内には大量の糖が入ってきて、体はそれを分解するために大量のインスリンを必要とします。

しかし、インスリンが大量に出て糖を筋肉などの細胞に受け渡そうとしても、一定の量を超えると細胞側が受け取りきれずにインスリンとともに糖が血液中に残ってしまうのです。

そして、このような状態が続くと、膵臓はインスリンを分泌しにくくなってしまい、血糖値が高い状態が続く糖尿病を発症してしまいます。

・運動不足

運動不足は、摂取しすぎたカロリーを消費しきれずに肥満の原因となるだけでなく、インスリンが効きにくい体を作ってしまうことになります。

なぜなら、人間の体には生命活動や運動などで消費するカロリーがあり、これは食べ物から補わなければなりませんが、それを超えて摂取した分のカロリーは脂肪として体に蓄えられ、肥満を招いてしまいます。

そのため、日頃から運動不足で消費するカロリーが少ないと肥満になりやすいだけでなく、筋肉の量が減ってしまうことで生命活動に必要なカロリーそのものが減ってしまい、より悪循環となってしまうのです。

また、運動不足によって筋肉があまりエネルギーを必要としなくなっていると、筋肉などの細胞がインスリンに対して反応しなくなり、インスリンが分泌されているにも関わらず血糖値が高くなってしまう状態(インスリン抵抗性)になります。

■喫煙

喫煙も糖尿病の大きな原因のひとつであり、喫煙者はそうでない人と比べて糖尿病を発症する確率が1.4倍高くなるという研究結果も出ています。

なぜ喫煙が糖尿病の発症に影響するのかというと、タバコに含まれるニコチンが体内でカテコラミンというホルモンの分泌を促進するからです。

そして、このカテコラミンには心拍数増加などの血圧を上げる作用だけではなく、インスリンの働きを打ち消す作用があるため、血糖値が上がってしまうのです。

また、高血糖に加えて血圧が上がることによって動脈硬化がさらに加速し、糖尿病の合併症などの発症が早まる可能性もあります。

■飲酒

飲酒は肥満の原因になりやすい他、肝臓に負担をかけることが多くなるため、糖尿病の原因のひとつです。

というのも、まずアルコール自体に糖質が含まれている他、ビールやワイン、日本酒などの醸造酒と呼ばれるお酒やカクテルなどの甘いお酒には糖質が多く含まれており、血糖値を上げる事になってしまいます。

さらに、アルコールが肝臓で分解される時には肝臓内に蓄えられたグリコーゲンというブドウ糖からできた物質をブドウ糖に分解する働きも促進され、大量のインスリンが必要となるのです。

また、お酒といえばおつまみが欲しくなるところですが、お酒のおつまみといえば脂っこくてカロリーが高いものが多く、そのことが肥満につながりやすく、注意が必要です。

なお、アルコールや肥満によって脂肪肝の状態になると、肝臓は糖を取り込んでグリコーゲンなどに変えたりすることができなくなってしまい、血中に糖が溢れる事になってしまいます。

そして、脂肪肝の患者数はおよそ3000万人程度いるとされており、これはなんと成人の3人に1人の割合にもなるそうです。

ですので、アルコールといえば痛風や肝臓の病気がすぐに浮かんでしまいがちですが、糖尿病のリスクもあるということを覚えておいてくださいね。

■高血圧

高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの原因として挙げられることが多いのですが、糖尿病にも密接に関わっています。

なぜならば、高血圧になりやすい人というのは高カロリー・高塩分の食事を好んだり、喫煙や飲酒をしているということや、肥満体型の人が多いなど、糖尿病になりやすい条件とほぼ同じだからです。

実際に、糖尿病患者の40~60%が高血圧であり、この値は糖尿病でない人の2倍の数にあたります。

ちなみに、糖尿病に高血圧が重なると、動脈硬化の進行がより一層早まり、網膜症や腎症といった恐ろしい合併症を起こしやすくなってしまいます。

ですので、糖尿病のリスクを下げるためには、高血圧を招くような生活習慣は控えるべきでしょう。

■遺伝

よく言われる「糖尿病は遺伝する」ということですが、これは必ずしも正解だとは限らず、糖尿病にかかりやすい遺伝子を持った人が生活習慣などの他の要因も満たした場合に糖尿病を発症しやすくなると言われています。

というのも、2型糖尿病の発症に関連する遺伝子はいくつか発見されているのですが、両親のどちらかが糖尿病の場合に子供が糖尿病を発症する割合は約3割、両親ともに糖尿病である場合には約6割という研究結果もあり、絶対に遺伝するとは言い切れないからです。

しかし、糖尿病の人が家族にいる場合にはその遺伝子を自分も持っている可能性がありますので、生活習慣などに人一倍気を配る必要があると言えるでしょう。

一方で、特定の遺伝子の機能異常によって発症する糖尿病というのもあり、若年発症成人型糖尿病やミトコンドリア遺伝子異常、インスリン受容体異常症などがわかっていますが、これらの発症する頻度は極めて稀であるとされています。

■ストレス

ストレスは人間の体にとって不可欠なものではありますが、過度のストレスはさまざまな病気の引き金となり、それは糖尿病も例外ではありません。

なぜストレスが糖尿病を引き起こすのかというと、ストレスによる反応で分泌されるホルモンにその原因はあります。

というのも、ストレスによって交感神経が活発になると、よく知られているアドレナリンをはじめとしたさまざまなホルモンが分泌されますが、そのほとんどは血糖値を上げる働きを持っているからです。

一方で、血糖値を下げる働きをするホルモンはインスリンくらいしかありませんから、強いストレスを感じることによって血糖値は上昇してしまうわけです。

また、ストレスを感じることで暴飲暴食をしやすくなり、それによってさらに血糖値が上がってしまうということも考えられるでしょう。

実際に、ドイツやカナダでは糖尿病ではない人を数年間に渡って追跡調査したところ、仕事などで強いストレスを感じている人はそうでない人と比べて糖尿病を発症するリスクが45%高い(ドイツ)、強いストレスを感じている女性はそうでない人と比べて糖尿病を発症するリスクが2倍になる(カナダ)という結果が出ています。

■薬剤

病気の治療のために使われている薬の中にも、血糖値を上昇させて糖尿病の原因になってしまう可能性があるものがあります。

ですので、該当する薬を使って病気の治療を行う際には、生活習慣に注意するとともに、医師の指示をきちんと守るようにしてください。

なお、主に高血糖を起こす可能性がある薬としては、以下のものが挙げられます。

・副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)

・降圧利尿剤

・βブロッカー

・カルシウム拮抗剤

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女性が気をつけるべき糖尿病のリスクとは

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■妊娠糖尿病

女性が気をつけるべき糖尿病としてまず挙げられるのは、妊娠中の女性の7~9%の人が発症する妊娠糖尿病です。

この病気は、1型や2型の糖尿病と異なり、妊娠初期に胎盤で血糖値を上げるホルモンが作られるために妊娠中期以降にインスリンが効きにくくなり、血糖値が上がってしまうことで起こります。

そして、妊娠中に高血糖の状態が続くと、早産などの母体への影響のほか、巨大児や低血糖など胎児にも悪影響が現れてしまいます。

また、妊娠糖尿病を発症すると将来2型糖尿病にかかるリスクも高くなると言われていますので、妊娠中の血糖値に注意し、病院で必ず妊娠糖尿病の検査をするようにしてください。

なお、妊娠糖尿病を発症する要因として、次のようなものが考えられます。

・家族に糖尿病の人がいる

・肥満である

・35歳以上である

・以前に巨大児や奇形児を出産したことがある

・以前に原因不明の早産や流産などをしたことがある

・尿糖が出ていて、それが続く

・妊娠高血圧症候群である

・羊水過多症(羊水が800ml以上)である

■閉経・更年期障害

女性にとってもうひとつの気をつけるべき糖尿病のリスクは、閉経や更年期障害によってホルモンバランスが大きく変わる時期です。

なぜならば、男性が40歳以降から糖尿病を発症する人が増えてくるのに対し、女性は閉経後に糖尿病を発症する人が急増するからです。

というのも、閉経やそれに伴う更年期障害によって女性ホルモンが減少すると、それまで皮下脂肪となっていた余分なエネルギーが内臓脂肪に蓄えられるようになり、脂肪肝の状態になってインスリンが効きにくくなることがあるからです。

特に、親や兄弟に糖尿病の人がいる場合や、肥満体系である場合には要注意ですので、閉経以降は食事の内容に気を配ったり、運動することを心がけることが大切です。

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将来糖尿病になる確率がわかる方法とは?

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■3年以内に発症する確率がわかる「リスクスコア」

さて、糖尿病の原因についてご紹介してきましたが、やはり一番知りたいのは「自分がこの先糖尿病にかかるかどうか」なのではないでしょうか。

実は、その「糖尿病を発症する確率」を予測できるチェックリスト、「リスクスコア」が国立国際医療研究センターによって開発されています。

これは、性別、年齢、BMI(体重÷身長÷身長)、腹部肥満(男性:腹囲90センチ以上、女性:腹囲80センチ以上)、喫煙、高血圧(上:140以上もしくは下:90以上)などのチェック項目から点数を計算し、その合計によって3年以内に糖尿病を発症する確率がどのくらいあるのかを確認することができるものです。

また、先に挙げた項目以外にも空腹時血糖やHbA1cの値などを加えることによってさらに精度が上がった結果を得ることもできます。

ちなみに、このリスクスコアを使うと、例えば40歳男性・喫煙者・標準体型(BMI25未満)・腹部肥満なし・高血圧ありの場合、3年以内に糖尿病を発症する確率は7~9%になるようです。

ですので、ご自分がこの先糖尿病になってしまうのか気になるという方は、指標のひとつとして一度チェックしてみるのもいいかもしれませんね。

リスクスコアを計算するならコチラ!?

まとめ

いかがでしたか。

糖尿病は食べ物による肥満の他にも、遺伝や喫煙、飲酒、ストレスなどさまざまな原因があり、ほとんどの場合にはこれらのうちのいくつかの要因が絡み合うことで発症する、まさに「生活習慣病」といえる病気です。

また、女性の場合には妊娠や閉経といったライフサイクルが大きく変化する時に糖尿病のリスクが高くなりますので、このような時期の方は普段以上に食事や運動などでリスクを減らしていくことが大切だと言えるでしょう。

そして、今回の記事でご紹介した原因に少しでも心当たりのある方は、ぜひご自分の生活習慣を見直して、糖尿病にならない健康な毎日を送ることができるようにしてくださいね。

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