糖尿病で失明の確率と前兆や症状!原因や回復の見込みについても
糖尿病は様々な合併症を併発するものですが、場合によっては失明する可能性もあります。
しかし、失明と言われてもピンと来ないと思いますし、
・糖尿病で失明する病気にかかっている人の確率はどの程度なのか
・そもそもの原因や前兆、または症状が出る期間はどの程度なのか
・失明した場合は手術で治療できるのか
・予防できるものなのか
・失明した人数は年間でどれくらいいるのか、
・失明した場合は障害年金をもらえるのか
といった疑問点があるのではないでしょうか。
そこで今回は、糖尿病で失明の確率と前兆や症状について、また、上記のことも含めて原因や回復の見込みについてもご説明します。
目次
そもそも糖尿病で失明するの?
糖尿病そのもので失明することはありませんが、合併症である糖尿病網膜症になってしまうことで失明することがあります。
そして、この合併症による失明者は非常に多く、視覚障害者6人のうち1人は糖尿病網膜症による失明なのです。
また、この糖尿病網膜症の有病率は糖尿病患者の約15%でだいたい約140万人が糖尿病網膜症になっていると推定されていて、年間約3,000人が失明を引き起こしています。
糖尿病網膜症とはどのようなもの?
糖尿病網膜症とは、糖尿病患者が血液中のブドウ糖が過剰になることによって眼の網膜にある細い血管が詰まって変形したり、出血してしまうことで視力の低下や失明を引き起こしてしまうことです。
つまり、高血糖によって網膜の血管が傷つけられたことで視力低下や失明が発生するといことですね。
ただし、この糖尿病網膜症は発症してすぐ失明したり視力が低下していくわけではなく、症状が進行していく過程で視力低下が発生して失明に至るようになります。
◇症状はどのように進行していくの?
糖尿病網膜症は特徴的な変化があるため、その症状が表れている段階によって単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症と名付けられています。
まず、糖尿病網膜症の初期段階である単純網膜症は点状出血という針の先でついたような小さな点状の出血や、硬性白斑という血中にあるタンパク質や脂肪が漏れてきてできたシミ、そして毛細血管がふくらんでできるコブなどが眼底検査を行うことで見えてきます。
しかし、この状態の時は自覚症状が全くなく血糖値のコントロールがうまくいっていると自然と消えていくので眼底検査を行わない限り発見されないでしょう。
次に、増殖前網膜症の状態まで進行すると網膜は血液が足りない状態になるためシミを作り出して血管が死んでいき、死んだ血管の代わりに新しい血管ができ始め、毛細血管の形が不規則になり静脈が異常に腫れ上がります。
また、この段階でも自覚症状はほとんどなく検査を行わないと気が付くことはないと言われていますが、この段階でレーザー光を照射するレーザー光凝固術を行うことが増殖網膜症への進行を防ぐポイントとなるので、失明に対する予防となりますね。
ただ、増殖前網膜症の段階でも眼の黄斑部という部分に浮腫ができると著しく視力が低下してしまいます。
そして、増殖網膜症まで進行してしまうと、もろく出血しやすい血管の新生血管が伸びてくるようになり、網膜の表面や眼球内で出血が広がるようになって視力が低下し、飛蚊症や網膜剥離といった症状が出てきて、失明する可能性も出てくるようになるでしょう。
◇前兆症状がなさそう、予防方法は?
先に説明した、症状の進行についてを読んでいただけるとわかるように、自覚症状がほとんど無い状態から視力低下や飛蚊症が発生するものなので、何らかの症状が出てから動いていては遅いと言えます。
というのも、確かに、この中では飛蚊症が前兆症状と言えるかもしれませんが、飛蚊症が出ている段階はかなり症状が進行している状態なのでそこから治療を行うのはだいぶ遅れていると言わざるを得ません。
そのため、受け身となって行動を起こさない状態にあることは糖尿病患者の場合危険といえるので、糖尿病になってしまった人は眼底検査を定期的に行って初期の単純網膜症の段階で気が付くことが予防となるのです。
◇症状の進行速度や失明までの期間は?
単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の3段階の進行速度は血糖値のコントロールがうまく行えているかどうか、そして発症した年齢はいくつなのかによって大きく変わってきます。
そのため、具体的に何年と説明することはできませんが、比較的若い人(40歳以下)は進行が早い傾向にあるので、年若くして糖尿病になった人は定期的に眼底検査を行うようにしましょう。
ただし、一つの指針として糖尿病にかかってから7~10年程度で発症するケースが多いと言われているので、糖尿病になったらこの糖尿病網膜症になる前に糖尿病自体を治すようにしてください。
糖尿病網膜症の治療方法は?
糖尿病網膜症の治療方法として最も大切なことは、食事療法で血糖値をコントロールすることですが、場合によっては薬物療法で血糖値をコントロールすることもあります。
しかし、糖尿病網膜症の症状が進み新生血管が発生し始めたらレーザー光凝固治療を行い新生血管の発生や進行を食い止めることになるでしょう。
さらに、症状が進行してしまい硝子体出血が発生してしまったら網膜剥離や視力低下が発生するので硝子体手術を行って原因物質を取り除きます。
ただし、治療を行って症状が安定したとしても症状が再び進行する可能性があるので、眼科検査は定期的に行って血糖値のコントロールは行い続けることになりますね。
◇失明や視力低下は手術でどうにかなるの?
糖尿病網膜症の程度にもよりますが、硝子体手術によって視力が戻ることはあります。
しかし、必ず戻るものでもないので視力低下といった事態に悩まされたくないなら、早めに手を打ってくださいね。
また、完全に失明した場合に回復したというケースは見つけられなかったので(失明寸前から回復した例はあり)、完全失明してからの回復には期待しないほうがいいでしょう。
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糖尿病網膜症で失明したら障害年金はでるの?
糖尿病網膜症で失明した場合、障害年金はでます。
そして、詳しく説明すると視力の低下の度合いに応じて、1~3級のどれに該当するかは変わってきます。
つまり、両眼の視力の和が0.04以下になると1級、両眼の視力の和が0.08以下なら2級、左右の眼それぞれが0.1以下となれば3級、片方の眼が0.1以下になると障害手当金がもらえるようになるのです。
ただし、障害年金制度は初診日を証明する必要がありますが、糖尿病による網膜症は発症まで時間がかかり、かつ法律上のカルテの保存期間は5年しかないので破棄されてしまうといった事態がよく発生するので、2番目の病院で初診時の手掛かりを書いてもらうようにしてくださいね。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか?
今回は、糖尿病で失明の確率と前兆や症状について、また、様々な事柄や原因や回復の見込みについても説明しました。
糖尿病による失明は糖尿病網膜症という合併症を引き起こした場合に、治療を行わないと失明する可能性があるもので、年間約3,000人が失明を引き起こしているということでした。
そして、糖尿病網膜症は高血糖によって網膜の血管が傷つけられることで発症しますが、検査を行わないと視力低下や飛蚊症が発生しない限り気が付かないということでしたね。
また、治療方法の基本は血糖値をコントロールすることで糖尿病網膜症の症状が進行すると他の治療法も行うということでした。
そして、仮に視力に障害が発生した場合はその視力の障害度合いに応じて障害者年金がもらえるということでしたね。
最後に、糖尿病網膜症は糖尿病になってから発症するまで時間がかかるので、まずは糖尿病を発症したら糖尿病の回復を最優先に行って糖尿病網膜症にならないようにしましょう。
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