内出血の原因や病気と治し方や治るまでの期間!広がる時は?
どこかに腕や足をぶつけてしまった時や、指をドアに挟んでしまった時など、内出血というのは私たちの生活の中でもよく見られるものです。
ですので、みなさんもどこかにぶつけたりして赤い色や黄色、もしくは青や黒い色をしたあざができたり、腫れてしまったりした経験があるのではないでしょうか。
しかし、ぶつけた覚えがないし痛くないのに内出血ができている場合や、頻繁に内出血をしていてなかなか消えないというような場合、もしかしたら自分は病気か、内出血しやすい体質なのではないかと思っている方もいるかもしれません。
実際に、内出血を起こしやすくなる病気がいくつかあり、種類によっては斑点のような特徴のあるあざが現れるだけではなく、命にかかわるものもあるようです。
そうすると、内出血が起こって痛みがある場合やしこりができた場合、また範囲が広がっていく場合などは病気なのかどうか気になりますよね。
そこで今回は、内出血の原因や内出血が起こる病気と薬などの治し方、そして病気が疑われる時に病院で何科にかかるべきかなどをご紹介します。
また、打撲による内出血ができた場合に備えて、冷やすなどの応急処置の方法や湿布の使い分け、あざを早く治すのに有効な塗り薬、そして治るまでの期間などもまとめましたので、内出血で不安なことがある方はぜひ参考にしてくださいね。
内出血の原因とは
外傷によるもの
内出血が起こる原因として最も身近なのは、打撲などの外傷による内出血でしょう。
なお、打撲以外にも、強く圧迫したりすることによっても血管が傷ついて皮膚の中に出血が起こることがあります。
ちなみに、内出血というと皮膚が紫っぽい色に変化してしまった状態、いわゆる「アザ」のようなものをイメージするかと思いますが、医学的には体の外へ血液が流れ出さないものをすべて内出血と呼びます。
例えば、何らかの理由で臓器から出血してそれが体内に溜まっている状態も内出血であり、私たちが一般的に考える内出血よりももう少し広い意味で使われているようです。
病気によるもの
血管や血液、そして肝臓などの病気によって内出血が起こりやすくなることがあります。
なお、内出血が起こりやすくなる病気には、白血病や血友病、肝硬変などの時には命に関わる状態になる病気もあるので注意が必要です。
これらの病気については後に詳しく説明しますので、そちらもぜひ参照してくださいね。
歳を取ると内出血しやすい!?
加齢によって腕や手などに内出血が出やすくなることがあり、これは老人性紫斑(ろうじんせいしはん)病と呼ばれています。
なぜ、このように内出血しやすくなるのかというと、加齢によって血管や皮膚組織が弱くなることで若い時よりもぶつけたりするような物理的刺激に耐えられなくなるためです。
また、高齢者に多い脳梗塞などの予防のために血液を固まりにくくする薬などを飲んでいる場合にも、このように内出血が起こりやすくなります。
なお、内出血は数週間で消えてしまいますが、その跡が茶色いシミのように変色する場合があります。
とはいえ、深刻な病気ではないので、手袋や包帯などで患部を保護するなどの処置が取られることがほとんどのようです。
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内出血が起こる病気
特発性血小板減少性紫斑病
特発性血小板減少性紫斑病とは、何らかの原因によって出血を止める働きを持つ血小板の数が減ってしまうことにより、出血が起こりやすくなる病気です。
なお、この病気は2~5歳くらいの子供に多い急性型と、20~40歳の大人に多い慢性型の2つのタイプがあり、急性型に関してはウイルス感染(または予防接種)が原因となることが多いのですが、慢性型ではそのような感染はなく、またいつ発症したのかわからないこともあります。
ちなみに、症状としてはどちらも共通で皮膚や粘膜への内出血があり、皮膚には斑点状の赤い出血が見られます。
また、鼻血が出やすくなる、尿や便に血が混ざる、女性の場合は月経がなかなか終わらない、経血の量が増えるといった症状が見られることもあるようです。
そして、治療法としてはピロリ菌の除菌やステロイド治療、脾臓の摘出などがあり、症状の程度や治療効果を見ながら行われます。
白血病
白血病とは、血液を作る元となる骨髄内の造血細胞や白血球ががん化して増殖することで、血液中に異常な細胞が現れたり、正常な血液が作られなくなってしまう病気で、「血液のがん」とも呼ばれている病気です。
また、症状の進行速度やどの種類の白血球ががん化しているかなどから急性リンパ性白血病・慢性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病・慢性骨髄性白血病の4つに大きく分けることができます。
そして、主な症状としては急性の白血病の場合は感染症(正常な白血球が減るため)やめまい、倦怠感(正常な赤血球が減るため)、歯茎からの出血や鼻血、皮下出血(正常な血小板が減るため)などが見られます。
一方で、慢性白血病では倦怠感や体重減少、寝汗などがありますが、血液検査などで異常を指摘されるまでは特に症状が現れない人もいるようです。
しかし、慢性の白血病も急性の白血病と同じ症状が現れる状態になる時期が訪れますので注意が必要だといえるでしょう。
なお、治療法としては抗がん剤による治療や骨髄移植をはじめとした造血幹細胞移植などがあります。
血友病
血友病とは、血液を固める働きをもつ血液凝固因子というタンパク質の一種が欠けている、もしくは正常に働かないことによって出血が起こりやすくなるうえに、一度出血するとなかなか血が止まらなくなってしまう病気です。
なお、この病気は遺伝子の変異が原因で、他人から感染することはありませんが、家族に血友病の人がいる場合には自分も発症する可能性が高いといえます。
ただし、突然変異などによって血友病ではない人から血友病の子供が誕生することがあり、患者全体の2割強がこのタイプだと考えられているようです。
そして、この病気の主な症状は先ほど述べたように血が止まりにくくなることですが、体の外への出血よりも内出血が多いことが特徴です。
そのため、少し打っただけでも大きなアザが広がったり、関節内や筋肉内に出血が起こって腫れたりするといったことがよく見られます。
また、頭を打った場合には頭蓋内出血などで危険な状態になってしまう可能性もあります。
しかし、現在は足りない血液凝固因子を外から補う因子補充療法というものが行われており、きちんと治療を受ければ普通の人とほとんど変わらず過ごすことができるようになっています。
再生不良性貧血
再生不良性貧血とは、骨髄内で血液を作る役割を持つ造血幹細胞が何らかの理由で減ってしまうことで血液内のすべての血球(赤血球、白血球、血小板など)が少なくなり、体にさまざまな影響が現れる病気です。
また、原因として生まれつきの遺伝子異常がある場合(このケースのみ、ファンコニー貧血と呼ばれます)と、ウイルス感染や抗生物質などの一部の薬剤、放射線などがわかっていますが、原因が不明な場合も多々あります。
そして、主な症状としては動悸や息切れ、めまい、顔面蒼白(赤血球の減少によるもの)、内出血が起こりやすい、鼻血や眼底出血、歯茎からの出血(血小板の減少によるもの)、感染症にかかりやすくなる(白血球の減少によるもの)などが挙げられ、白血病などの似た症状が起こる病気と区別をつけて、正しい治療を行うことが大切です。
なお、治療法としては免疫抑制剤を使用して造血幹細胞が失われることを防いだり、骨髄移植によって骨髄の機能を正常化したりするものなどがあり、症状の程度などに合わせて適切な方法を選択していきます。
クッシング症候群
クッシング症候群とは、副腎皮質で作られる糖質コルチコイドというホルモンが増えすぎることにより、体にさまざまな症状が現れる病気です。
なお、原因は脳下垂体やその他の部分にできた腫瘍であり、特に脳下垂体の組織が腫瘍化したことによって引き起こされる糖質コルチコイドの異常はクッシング病という名前で区別されています。
そして、症状としては顔が丸くなる、お腹だけが太る、皮膚が薄くなって内出血が起こりやすくなるなどのステロイド剤の長期使用による副作用に似た症状が現れます。
また、糖質コルチコイドは血圧や血糖値をコントロールするホルモンのため、糖尿病や高血圧症、骨粗しょう症によく似た症状が現れることもあるようです。
基本的に、治療は腫瘍化した組織を摘出することが最善の方法ですが、再発などを防止することはできません。
そのため、副腎が糖質コルチコイドを作るのを抑える薬による治療や、放射線治療などが選択される場合もあるようです。
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打撲の内出血の治し方
基本の応急処置を覚えておこう
日常生活でよく起こる打撲による内出血ですが、正しい対処法と言われると自信がない方も多いのではないでしょうか。
しかし、正しい処置をすることによって治りが早くなるなどの効果が期待できますので、ぜひ覚えておくことをおすすめします。
なお、打撲の応急処置のポイントは次の4つです。
1:安静にする(Rest)
打撲してしまったところを動かすと出血がひどくなりますので、動かさないようにしましょう。
2:冷やす(Ice)
患部を冷やすことで、患部の炎症を抑えることができます。
3:圧迫する(Compression)
内出血が広がるのを抑えるために、包帯やテーピングなどを使用して患部を圧迫しますが、血流が止まってしまうほど強く圧迫しないように注意しましょう。
4:挙上しておく(Elevation)
内出血が広がるのを防いだり、痛みを抑えるために患部が心臓より高い位置に来るようにします。
ちなみに、この4つを英訳した頭文字を取って、「RICE=ライス」で覚えるという方法もあるようです。
温湿布と冷湿布、どちらを使えばいいの?
打撲などで湿布を利用する場合、迷ってしまうのが「温湿布」と「冷湿布」のどちらを使えばいいのかということですよね。
基本的には、自分が貼って心地よいと思う方を選べばいいのですが、より効果的に使うためには次のようなポイントを覚えておきましょう。
・温湿布
皮膚に温かいと感じる刺激を与えて、血行を良くしたり老廃物の排出を促す作用がありますので、打撲の初期に用いるというよりは、数日経ってある程度痛みなどが治まってきてから使用するといいでしょう。
・冷湿布
皮膚に冷たいと感じる刺激を与えるとともに、患部を冷やす作用がありますので、打撲の初期の応急処置でアイスバッグなどで冷却した後に使用するといいでしょう。
青あざを早く消したい!そんな時に使える薬とは?
スカートをはいた時の足元など、青あざの見た目が気になって早く消したいと思うことがあると思いますが、そんな時には「ヘパリンナトリウム」や「ヘパリン類似物質」が含まれている軟膏やクリームを使ってみてはいかがでしょうか。
ヘパリンとは、血液が固まるのを防ぐ作用がある薬で、飲み薬としては脳梗塞をはじめとした血栓ができる病気の予防や人工透析などで使われており、処方箋なしには使えない強い効果を持つ薬です。
しかし、軟膏やクリームであれば保湿作用や血流促進効果から、あざや傷跡などを改善する効果が期待でき、皮膚科の処方薬だけではなく市販もされています。
なお、市販の薬ですと「ヘパリンZ」や「アットノン」などがこれに当たりますので、青あざを早く消したいという場合には活用してみるのもいいかもしれませんね。
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内出血はどれくらいで治る?
・通常は1週間程度、長引くようなら内出血の色にも注目
打撲による内出血の場合、程度にもよりますがおよそ1週間程度で症状が改善してくる場合が多いようです。
そのため、数週間に渡って痛みなどが続く場合や、他の症状(覚えのないところにもあざができている、鼻血や他の粘膜からの出血が増えているなど)が見られる場合には、単なる打撲以外の可能性もあります。
また、皮膚の内出血は時間の経過によって
赤 → 青や紫 →黄色や茶色
といったように変化していきますので、いつまでたっても色の変化がない場合なども注意するようにしましょう。
ちなみに、黒い内出血は青い色と同様に皮膚のメラニン色素を通して見ているためにそのような色に見えるという可能性や、出血の量が多い可能性があるようです。
内出血が広がる?病院に行くべき時とは
このような症状が見られたら病院へ
打撲くらいで病院なんて、と思う方もいるかもしれませんが、体の深い部分にまでダメージが及んでいる場合もあり、それによって最悪の場合には命に関わるケースもありますので注意が必要です。
ですので、次のような症状が見られる場合には外科や整形外科を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
・骨折している可能性がある
痛みがひどい、腫れがある、動かせない、患部が変形しているなど
・激しい痛みがある
肋骨を打った後に息をするだけで痛い、腹部を打った後に激しい痛みが続くなど
・頭部を強く打った
次の項で詳しくご説明します
・目を強く打った
眼底出血などの可能性がないか検査してもらうと安心です
内出血が広がる、しこりがある…こんな時は大丈夫?
内出血が広がるという場合、多くは重力によって出血した血液が広がっていることが多く、また凝りがあるという場合には皮膚の下で内出血が固まっている状態が多いようです。
つまり、どちらも危険な状態ではなく、打撲が回復するまでにあたっての自然な現象だと考えられます。
しかし、ぶつけた覚えのないあざが広がるといった場合には、血友病や白血病などの可能性も否定はできませんので、数週間に渡ってその状態が続くという場合には医療機関を受診するようにしましょう。
たんこぶができたら要注意!?その理由とは
頭部を打った場合には、その直後には特別な変化がなくても、数日後に命に関わる状態になることがありますので特に注意が必要です。
なぜそのような状態になるのかというと、頭部を打ったことで脳を包む膜のひとつである硬膜(こうまく)と頭蓋骨の間に出血が起こり、それが徐々に脳を圧迫していくことによって脳の機能が正常に働かなくなる「急性硬膜外血腫」が起こる事があるからです。
そして、硬膜外血腫が進行すると、脳の中枢にある呼吸や心拍をコントロールする部分まで機能が停止してしまい、最終的には死亡してしまいます。
ですので、頭部を打った直後に意識障害がある場合はもちろんのこと、本人が元気そうに見えても1日程度は注意して様子を観察し、頭痛を訴える、嘔吐を繰り返す、痙攣を起こす、意識や記憶がはっきりしないなど、おかしいと感じたらすぐに医療機関を受診するようにしましょう。
内出血は何科で診てもらうのがベスト?
打撲など、ケガが原因の内出血の場合には外科や整形外科、内出血の跡が消えないという場合になどは皮膚科がいいでしょう。
また、ぶつけたりした覚えがないのにあざができているという場合には、内科を受診することをおすすめします。
そして、血液検査などを受けた上で、異常が見つかった場合には血液内科などの専門科のある大きな病院へ紹介状をもらって受診してみてください。
まとめ
いかがでしたか。
内出血の原因はケガや病気、また加齢によって皮膚や血管が弱くなることなどが挙げられます。
なお、内出血を症状とする病気には、再生不良性貧血や特発性血小板減少性紫斑病といった比較的発病がまれなものや、血友病や白血病のようにきちんと治療を受けなければ危険な病気もあります。
また、打撲などのケガによる内出血の場合にも、内臓にまでダメージが及んでいる場合もありますので、注意が必要であり、特に頭部への強い打撲は2日程度状態をよく観察することが大切です。
しかし、激しい痛みや意識障害のような明らかな異変がない場合には、1週間前後で症状は改善してきますので、まずは今回ご紹介した応急処置法を行うようにしてみてください。
ぜひ、今回の記事を参考にして、内出血をただのケガとして放置せず、自分の体の状態をよく見つめてあげてくださいね。
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