自律神経失調症の原因や症状とチェックの仕方!うつとの違いも

自律神経失調症とは、体のさまざまな機能を調節する役目を持つ自律神経のバランスが崩れてしまうことにより、体にさまざまな不調が生じるものです。

また、自律神経失調症は体の症状だけではなく、心にも影響を及ぼすことがあり、うつ病との違いをはっきりさせる必要があります。

それだけではなく、症状は人それぞれで、中には生理不順などの女性特有のものもあり、さらに重症になると日常生活にも支障が生じ、仕事を休職して入院が必要になったりすることもあるようです。

そうすると、自律神経失調症は病院で検査や治療ができるものなのか、完治することができるのかといったことや、自律神経失調症にならないための対策があるのかなどが気になりますよね。

そして、できれば治し方も自力でできるものがあれば試したいという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、自律神経失調症について、その原因や主な症状のチェックリストとともに、病院での治療方法や何科を受診すればいいかといったことをお伝えします。

それから、自律神経失調症を改善するツボや食事で取り入れたい食べ物、漢方薬やサプリなどの市販の薬についてもご紹介していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

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自律神経失調症とはどんな病気?

そもそも「自律神経」って何?

自律神経とは、自分の意思とは関係なく体内のさまざまな機能を制御している神経で、交感神経と副交感神経を合わせた呼び名です。

なお、自律神経によって制御されている機能には脈拍数や血圧、胃液などの消化液の分泌、さまざまなホルモンの分泌などがあり、全身のあらゆる部分に関わっています。

また、交感神経は激しい活動を行っている時や緊張している時に活性化し、副交感神経はリラックスしている時に活性化するという性質もあります。

そして、交感神経と副交感神経はお互いに反対の働きをするようになっており、血圧を例にすると、交感神経は上げるように働きかけ、副交感神経は下げるように働きかけるといった具合です。

このようにして、自律神経の交感神経と副交感神経はその時の状況に応じて、どちらかの働きが優位になることで体の状態を最適に保つことができるようになっています。

自律神経失調症の原因

自律神経失調症の原因には、生活習慣やホルモンバランスの変化、そして心身へのストレスが挙げられます。

なお、生活習慣については昼夜が逆転するような不規則な生活や寝不足、薬物やアルコールの摂り過ぎが考えられます。

また、女性は閉経などに伴ってホルモンバランスが変化することにより、自律神経のバランスが崩れてしまうこともあるようです。

そして、自律神経失調症にかかっている人の多くに当てはまるのが心身へのストレスです。

一般的に、ストレスというとショックな出来事や人間関係の問題などを想像してしまいますが、ケガや事故、日常生活の中で感じる音や光、温度などもストレスとなることがあります。

自律神経失調症の症状

自律神経は体の多くの部分に関わっているため、その症状も非常に多彩で、人によって様々な症状が現れます。

なお、基本的には「交感神経と副交感神経のバランスが崩れる」状態のため、本来であればどちらかの活動が優位になるべき時にそうならないといった状態が多いようです。

例えば、通常は副交感神経が優位になる就寝時に交感神経が活発になり、汗をかいたり動悸がして眠れなくなってしまったり、交感神経が優位になって活発に動かなければならない昼間に無気力になってしまうといったことが考えられます。

また、それ以外にもめまいや肩こり、生理不順や胃腸の症状(下痢・便秘・吐き気)など、自律神経失調症だとは気づきにくい症状を訴える人も多いようです。

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自律神経失調症をチェックする方法は?

自分の体と心を見直してみよう

自律神経失調症の症状はさまざまですが、ストレスによって引き起こされることが多く、自分の症状が自律神経のバランスが崩れていることによるものだとは気づきにくいものです。

ですので、最近体の不調が続くというような人は、次のような症状をチェックしてみてはいかがでしょうか。

【体の症状】

・頭痛や頭が重い感じがする

・肩こりがある

・腰痛がある

・喉に何かが使えているような感じがする

・胸が押されているような苦しさがある

・体がだるい

・手足が震えたり、しびれたりする

・めまいがする

・下痢や便秘になりやすい

【心の症状】

・自分のこれからに自身が持てない

・朝起きても気分がすっきりしない、早くに目が覚めてしまう

・何かをしようとしてもやる気がわかない

・集中力が続かない

・物事をなかなか決められない

・人に会うのがおっくうだ

そして、ここに挙げた症状がいくつか当てはまり、体調や心の面で気になることがあるという人は、自律神経失調症の可能性を考えるとともに、信頼できる医師に相談する、日頃感じているストレスを少しでも減らせるように十分な休息を取るなどの対策を取ることをおすすめします。

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自律神経失調症とうつ病、どこが違うの?

・似ているようで違う「症状」と「病気」

自律神経失調症のように、体にさまざまな不調が起こり、気分の落ち込みなどを伴う病気にうつ病があります。

この2つはとても似ているように思えますが、自律神経失調「症」は自律神経のバランスが崩れることで体にさまざまな不調が起こる症状で、脳の神経伝達物質に異常が生じて気分の落ち込みが起こるうつ「病」とは別のものです。

また、自律神経失調症は体の様々な部分に症状が現れることから始まるのに対し、うつ病では気分の落ち込みなどの心の症状が強いというのも違いだと言えます。

それだけではなく、自律神経失調症は検査では異常がないにも関わらず痛みなどの症状が現れている状態であることから、医学的に病気であるのかというのは非常に判断が難しいといった事情があります。

そのため、国際的には自律神経系失調症は病気の名前として定義されておらず、日本人の医師にもその存在については否定的な意見を持っている人もいるようですね。

しかし、症状が長期に渡って続くことや、医師の適切な診断が得られないことからうつ病を併発する場合もあり、自律神経失調症とうつ病は違うものではありますが、非常に近い位置にあると考えることができるでしょう。

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自律神経失調症の治療方法

薬物療法

薬を使った治療では、体の痛みや消化器の症状などのその時起こっている症状を和らげるための薬や、自律神経を調整する効果のある薬などが処方され、また漢方薬も活用されます。

まず、鎮痛剤などで症状を和らげる対症療法では、自律神経失調症の辛い症状を和らげることでストレスを軽減し、治療にプラスになることを目的として行われています。

なお、漢方薬も体に負担が少ないことや、西洋医学の薬では難しいこともある体質そのものの改善なども期待できることから使用されることも多いようです。

そして、更年期障害の時などにも処方されている自律神経を調節する効果があるグランダキシンという薬も使用されることがあります。

心理療法

心理療法とは、薬を使うのではなく、カウンセリングなどを通じて精神的ストレスの改善を試みる治療法のことで、次のようにいくつかの種類があります。

1:認知行動療法

この治療法では、ストレスと感じていることをはっきりと自覚することや、それに対しての捉え方や考え方の道筋を明らかにすることで、自分の考え方のクセのようなものを見つけ出し、それを変えていくことが目標です。

ちなみに、この認知行動療法はうつ病をはじめとした多くの心の病気の治療で用いられ、実績を上げています。

2:自律訓練法

自律訓練法とは「気持ちが落ち着いている」「手足が重い」「手足が温かい」と自分で暗示をかけることによって心と体をリラックスさせることができるように訓練するという一種の催眠療法のようなものです。

具体的には、仰向けに寝た状態や椅子に座った状態で目を閉じ、決められたキーワード(全部で7つ前後あります)を順番に繰り返し心のなかで唱えながら体の状態に意識を向けていきます。

しかし、正しい方法で行わないと逆効果になることもあるので、自己流で試してみるのはおすすめできません。

3:森田療法

森田正馬という医師によって大正時代に考案された心理療法で、以前は入院して数ヶ月程度の期間をかけてじっくりと治療を行うものでした。

しかし、現代では薬物療法と併用しながら短期の入院や通院によって治療を行うケースが増えています。

なお、この療法では「あるがまま」という言葉がキーワードとされ、自分のあるがままの状態で生活ができることが目標です。

4:バイオフィードバック法

バイオフィードバック法は、血圧や心拍数といった数値から自分の緊張している状態を目で見て把握し、そこからさまざまなリラックス法を試していって自分に最適なリラックス法を見つける治療です。

特に、筋肉の緊張が原因で肩こりや体の痛みが出ている場合に有効だとされています。

入院治療が必要な場合とは?

自律神経失調症で入院治療が必要となるケースはあまり多くはありませんが、一部の心理療法を行う場合や、うつ病を併発しているような場合には入院が必要となることもあるようです。

まず、入院が必要になりやすいのが先ほど心理療法の項でご紹介した森田療法などで、カウンセリングと薬物療法を併用しながら症状の改善を目指します。

また、症状が悪化して日常生活に支障が出ているというような場合にも、入院が必要となるでしょう。

なお、入院することで日常生活から離れるためにストレスを一時的に避けることができることからより治療が効果的に行えるのではないかという意見もあります。

ちなみに、入院治療となった場合には症状の程度に応じて数週間から数ヶ月程度の入院となるようです。

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自分でもできる自律神経の整え方とは?

ツボ押し

ツボ押しは場所さえ覚えてしまえば、空き時間や入浴中などに気軽に行うことができるのでおすすめです。

なお、自律神経の乱れを整える効果のあるツボには、次のようなものがあります。

1:労宮(ろうきゅう)

出典:コリキク!HP

労宮は手のひらの真ん中あたりの、中指と薬指を折り曲げてちょうど指先が当たる位置にあるツボで、心のストレスやそれに伴うイライラなどに効果が期待できます。

2:内関(ないかん)

出典: 崇城漢方研究会HP

内関は手首の内側(手のひら側)の、手首のシワから指3本分離れたところにあるツボで、主に消化器系の症状に対しての効果が期待できます。

3:百会(ひゃくえ)

出典:眠りこころラボHP

百会は耳の一番高い部分から垂直に上がっていった先にある頭頂部のツボで、全身のバランスを整える効果が期待できます。

漢方薬やサプリメント

副作用が少なく、ゆっくりと体調を改善していく効果が期待できる漢方薬やサプリメントは、自律神経失調症にありがちな「なんとなく、とにかく調子が悪い」という時に助けになってくれることがあります。

ただし、体質によっては効果がない場合もありますので、特に漢方薬は専門の知識がある医師に病院で処方してもらうのがおすすめです。

なお、自律神経失調症において用いられることが多い漢方薬やサプリメントには次のようなものがあります。

漢方薬

症状や体質に応じて次のような薬が使用されます。

・めまいや立ちくらみ、頭痛

苓桂朮甘湯(れいけいじゅつかんとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

・動悸

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、苓桂朮甘湯

・不安や不眠

加味逍遥散(かみしょうようさん)

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サプリメント

栄養バランスの改善からストレスの軽減などを目的とする場合には、ローヤルゼリーやマルチビタミン、カルシウムや鉄分などが用いられます。

また、気分の落ち込みや不眠などの症状にはセントジョーンズワートやバレリアンなどのハーブから抽出した成分のサプリメントや、テアニンやGABAといったアミノ酸の一種のサプリメントが使われることが多いようです。

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食生活

サプリメントを使用するだけではなく、食事からストレスに関係する栄養素を摂ることも大切です。

なお、ストレス対策や自律神経のバランスを整えるために積極的に摂りたい栄養素と、それが主に含まれている食材は次のようになります。

ただし、この栄養素だけを摂ればいいというわけではありませんので、バランスを考えて3食をきちんと摂るようにしてください。

・ビタミンB群

神経の働きを正常に保つために必要な栄養素で、レバーや肉、魚に多く含まれています。

・ビタミンC

ストレスによって分泌されるアドレナリンの合成に必要で、ストレスによって大量に消費される栄養素です。

なお、かんきつ類やピーマンなどに多く含まれますが、意外なところだと焼き海苔にも多く含まれています。

・カルシウム

イライラの改善や、安眠効果が期待できる栄養素で、乳製品や小魚などに多く含まれています。

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自律神経失調症かもしれないと思ったら

自己診断は止めて、病院へ

自律神経失調症かもしれないと感じた場合には、まずは生活習慣や食生活の見直し、ツボ押しなどのリラックス法やサプリメントなどを試してみたくなると思いますが、そのような方法を試してみても症状が改善しない、数ヶ月以上に渡って症状が長引くといった場合にはやはり病院へ行くことをおすすめします。

その理由としては、その不調が他の病気である可能性も否定できないということと、たとえ自分の体であっても、検査などを行わなければ体の状態を正確に把握するのは難しいということの2つが挙げられます。

ですので、もし原因不明の体の不調があるという場合には、身の回りのストレスについて見直してみるとともに、信頼できる医師に相談するようにしてくださいね。

自律神経失調症は何科に行けばいいの?

自律神経失調症の治療を主に行っているのは心療内科や精神科ですが、まずはご自分が気になっている症状に合わせた診療科にかかるといいでしょう。

具体的には、頭痛や腹痛、動悸が気になるならば内科、肩こりや腰痛が気になるならば整形外科、めまいが気になるならば耳鼻咽喉科や神経内科などです。

そして、そこで他の病気にかかっていないかをきちんと検査してもらい、それでも治療などに効果が見られない場合には心療内科や精神科を受診するようにしましょう。

また、複数の診療科にまたがって幅広い知識を持った医師が対応してくれる総合診療科もおすすめです。

ちなみに、どの病院に行ったらいいかわからないという場合には、「お住まいの都道府県名 医療サービス」で検索をすると、各自治体の医療機関の情報を調べることができるホームページがありますので、活用してみてくださいね。

まとめ

いかがでしたか。

自律神経失調症はストレスなどが原因となって自律神経のバランスが崩れてしまい、その結果、頭痛やめまい、肩こりや動悸などをはじめとしたさまざまな症状が全身に現れる病気なのでした。

なお、脳の神経伝達物質の異常が原因となるうつ病とは違い、気分の落ち込みなどの心の症状よりは体の症状の方が強く出る傾向にあるのでしたね。

しかし、放置しておくと症状が重くなって日常生活に影響が出たり、心のバランスまで崩してしまう事態になりかねません。

ですので、今回ご紹介したチェックリストやツボ押しなどの自律神経を整える方法を参考にして、なるべくストレスを貯めない生活を心がけることが大切です。

そして、もしも自律神経失調症が疑われる場合には、体の症状に合わせた診療科できちんと検査をして、正しい治療を受けることをおすすめします。

ぜひ、今回の記事を参考に体の不調を解消してくださいね。

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