片目だけ涙が出る原因や病気と治し方!鼻水や赤ちゃんの時は?

悲しい時やあくびをした時など、涙が出るのにはさまざまな理由がありますが、片目だけ涙が出るという場合には、なぜそうなるのか疑問に思う方が多いのではないでしょうか。

実は、花粉症や寒い日の寒暖差アレルギーで涙が出るということもありますが、片目だけ涙が出るというのは何らかの病気が原因となっていることもあり、放置しておくと涙で目の周りがただれることもあるようです。

また、1歳・2歳程度の幼児や赤ちゃんなどの子供がかかりやすい病気にも片目だけ涙が出るものがあるので、注意が必要です。

そこで今回は、片目だけ涙が出る原因や、考えられる病気についてを頭痛や鼻水などの他の症状とあわせてご紹介するとともに、治療法についてもご説明していきます。

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涙が出るのはどんな時?

■涙の役割は目を守ること

涙は目に酸素や栄養を届ける役割のほか、目の表面をうるおして乾燥などから保護したり、眼球の運動を助けたりするために常に一定の量が分泌されていますが、次のような場合にはさらに涙が出てきます。

・異物が入ったり、炎症が起こっていることで目に刺激が生じている

・感情が高ぶった(悲しい・嬉しいなど)

なお、このような場合での涙は、常に分泌されている「基礎分泌」による涙に対して、「反射性分泌」による涙と呼ばれています。

■片目だけ涙が出るのはこんな時

片目だけ涙が出るという時には、その目に何らかの刺激が生じていると考えられます。

なお、刺激の原因として考えられるのは、異物が入ったり、炎症を起こしているといった状態です。

そして、そのような場合には目の病気が隠れていることも多いため、涙以外の症状はないかなどに注目し、気になる症状があれば医療機関を受診して専門医の診察を受けることが大切です。

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涙が出る時に気をつけたい病気とは?治療法も!

■鼻涙管閉塞

鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)とは、目と鼻をつなぐ鼻涙管という管が何らかの原因で詰まってしまうことで涙が排出されずに流れ出してしまう病気です。

先ほど、涙は目を保護するため常に分泌されているとご説明しましたが、その涙は涙腺というところから分泌され、目頭の上下にある涙点という小さな穴から排出されていき、涙小管(るいしょうかん)という管から涙嚢(るいのう)という一時的に涙を貯めておく場所を経て、最終的に鼻涙管から鼻へと排出されていきます。

しかし、この鼻涙管が炎症などによって詰まってしまうと、涙は排出されずに目に溜まり、溢れ出してしまう状態(=鼻涙管閉塞)になってしまうわけです。

なお、鼻涙管閉塞の治療は、涙点から細い針金を挿入したり、シリコン製のチューブを入れたりして、鼻涙管が塞がらないようにした状態でひと月程度過ごすといった方法が取られますが、再発が見られる場合には手術で涙嚢と鼻を直接つなぐ場合もあります。

ちなみに、この鼻涙管閉塞には蓄膿症などの鼻の病気や結膜炎などの目の病気が原因となって起こる後天性のものと、鼻涙管が塞がったまま生まれてしまうことによる先天性のものがありますが、先天性のものについては後ほど詳しく説明します。

■ドライアイ

ドライアイとは、加齢やパソコン・スマートフォンなどの長時間使用などによって、涙の量が減ってしまったり、涙の質が悪くなることで目を守る働きが低下してしまった状態で、主な症状としては目の疲れや乾燥、ゴロゴロとした不快感が生じたり、物がかすんで見えたりするなどがあります。

そして、ドライアイという言葉と涙が減るという状態から、「涙が出なくなる」と考えている方も多いかもしれませんが、ドライアイでも涙が出ることがあります。

それは、目の不快感から目をこすって角膜などを傷つけてしまった場合もありますが、通常の涙の分泌が減っているために冷たい風に当たったなどのちょっとした刺激でも反射性分泌による涙が増えてしまうためです。

なお、ドライアイの治療法には点眼薬で涙の成分を補ったり、涙点にシリコンなどでできた涙点プラグという器具を入れて涙が排出されないようにする方法があります。

■結膜弛緩

結膜弛緩(けつまくしかん)とは、白目の表面を覆っている結膜という組織がたるんでしまう状態です。

そして、たるんでしまった結膜は重力で下(下まぶたの縁)にひだのように折り重なった状態となってしまい、まばたきの時の不快感や、ひだの部分に涙が溜まってあふれるといった症状が現れます。

また、たるんでしまった結膜部分に涙が溜まってしまうことから、目の他の部分へ涙が行き渡らずにドライアイの症状を併発してしまうこともあるようです。

なお、結膜弛緩の治療法は、たるんでしまっている結膜を手術で切除して縫い合わせ、通常の状態になるようにします。

■角膜・結膜への傷や感染症

角膜(黒目を覆う膜)や結膜(白目~まぶたの内側を覆う膜)に傷がついたり、ウイルスや細菌による感染症が起こると、炎症が起こってそれが刺激となり、痛みを感じる、涙が出る、充血するといった症状が出ます。

なお、角膜や結膜への傷の原因として多いのは、ゴミなどの異物が入ったことの他にはコンタクトレンズを正しく使用していなかった場合や、ドライアイ、目薬の過剰な使用によって防腐剤などの成分でアレルギーなどが起こってしまっている場合などです。

また、角膜や結膜への感染症は、黄色ブドウ球菌やヘルペスウイルスなどさまざまな細菌やウイルスによるものがあり、しばしば発熱などの症状を伴うことがあります。

そして、これらの症状の治療には、点眼薬によって乾燥を防いで傷の回復を助けたり、抗生物質入りの点眼薬で細菌を殺すといった方法が取られます。

■逆さまつげ

逆さまつげとは、まつ毛が眼球の方を向いてしまっていることで目に傷がついたり、涙や目やにが増えたりする症状が現れる状態です。

なお、逆さまつげにはまつ毛の生え方に原因がある「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」と、まぶたの向きに原因がある「眼瞼内反(がんけんないはん)」の2つのパターンがあります。

そして、治療は症状が軽い場合には目を保護したり、炎症を抑える働きのある点眼薬を用いて経過を観察しますが、症状が重い場合には手術が必要です。

ちなみに、睫毛乱生の場合にはレーザーや電気分解などでまつ毛の毛根を破壊してしまう方法が行われ、眼瞼内反の場合には美容整形での二重まぶたを作る手術と同じような、糸によってまぶたにひだを作る方法(埋没法)や、切開して脂肪などを取り除く方法が行われます。

■群発頭痛

群発頭痛(ぐんぱつずつう)とは、1日に数回~数日に1回程度の激しい頭痛が、1~数ヶ月のサイクルで発生する病気で、左右どちらかのこめかみや目の周りのえぐられるような痛みが特徴です。

また、激しい頭痛に伴って、痛んでいる側の目や鼻から涙や鼻水が出る、まぶたがむくんだり垂れ下がるといった症状も診断の上では群発頭痛を見分けるための重要なポイントとされています。

なお、この病気は原因がまだわかっておらず、現在行われている主な治療法はベラパミルやバルプロ酸などの薬や、生活習慣の見直しを通して(規則正しい生活を送る、アルコールやタバコなどを控えるなど)、頭痛が来る前に予防することです。

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赤ちゃんや子供がかかりやすい涙が出る病気とは?

■先天性鼻涙管閉塞

先天性鼻涙管閉塞とは、目から鼻へと涙を排出する経路のうち、「鼻涙管(びるいかん)」と呼ばれる部分が塞がっているために涙が鼻へと抜けずに涙や目やにが出る状態です。

なお、先天性鼻涙管閉塞の多くの場合、生まれつき鼻涙管の鼻側の部分に膜が張ってしまっていることが原因のようです。

そして、治療法は涙の通り道となる部分を顔の上(目頭から鼻の付け根あたり)からマッサージすることで、これによって大半は改善します。

また、目頭にある涙点から生理食塩水を注入し、その水圧で鼻涙管の自然な開通を促す治療が行われることもあります。

ただし、月齢が進んでいる場合には、涙点から細い針金を挿入して鼻涙管の膜を突き破るという治療が行われることもありますので、お子さんの涙目が気になるという場合には早めに眼科を受診することをおすすめします。

■逆さまつげ

子供の逆さまつげは、まぶたが内側を向いてしまうことでまつ毛が眼球をこすって涙が出たり充血したりするといった症状が現れやすいようです。

というのも、赤ちゃんや小さな子供は上下のまぶたの脂肪が多く、そのためにまぶたの向きが眼球側を向いてしまうことが多いからです。

そのため、成長とともに逆さまつげが改善することも多く、基本的には経過を観察するという治療方針が取られます。

ただし、小学生くらいになっても逆さまつげが改善されない場合や、それ以前でも角膜炎などを繰り返している場合には視力低下などを防ぐために手術が勧められる場合もあります。

■はやり目

子供がよくかかる病気として知られているはやり目は、正確には「流行性角結膜炎」という名前で、アデノウイルスによる感染症です。

なお、主な症状は目の充血、大量の目やにや涙などで、耳の前やアゴの下が腫れることもあります。

そして、アデノウイルスには抗ウイルス薬は存在しませんので、治療法としては炎症を抑える目薬などを使用しながら、自分の免疫力でウイルスを退治するしかありません。

また、はやり目は非常に感染力が強いため、学校保健安全法において医師が感染の恐れがないと認めるまでの間は出席停止とされていますので、感染していることがわかったら学校や周囲への連絡も忘れないようにしましょう。

■プール熱

プール熱は、正確には「咽頭結膜熱」という感染症で、名前の通り咽頭(のど)・結膜(目)・熱の症状が特徴的です。

具体的な症状としては、喉の痛み、38℃以上の高熱、結膜炎(目の痛み、涙、充血、目やになど)があり、目の症状は始め片方のみに現れて、その後もう片方にも現れるといったパターンが多いようです。

ただし、この3つの代表的な症状が必ず同時に現れるというわけではなく、熱だけ、喉の痛みと目の症状だけといったように一部の症状だけが現れることもあるため、注意が必要です。

ちなみに、プール熱もアデノウイルスによって起こりますが、アデノウイルスにはいくつもの種類があるために感染したアデノウイルスの種類によってこのような違う病気が起こります。

そして、治療法としては、熱冷ましや痛み止めなどのその時出ている症状を和らげながら、免疫力で治していくしかありません。

また、プール熱も感染力が強いため、症状が治まってもその後2日間は出席停止となります。

まとめ

いかがでしたか。

片目だけ涙が出るという場合、さまざまな目の病気や頭痛などが原因となっていることが多いようです。

また、赤ちゃんや小さなお子さんの場合には、生まれつきの涙の通り道の構造の問題や、子供に多いはやり目やプール熱などの感染症が原因であることもあります。

いずれにせよ、涙だけが出るのか、その他に目や体などに他の症状はないかということをよく観察しておくことが大切です。

ぜひ、今回の記事を参考に、目の病気などに原因がありそうな時には眼科を、頭痛や発熱などがある場合には内科や小児科を受診し、専門医の診察を受けて治療を行うようにしてくださいね。

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