糖尿病の遺伝と1型や2型との関係や確率!子作りへの影響は?
よく、糖尿病は生活習慣病だと言われますが、実は糖尿病は生活習慣だけではなく遺伝も影響していることをご存知ですか?
もし、糖尿病が遺伝するとなれば、現在子作りを考えているご夫婦は子供へ遺伝する確率が心配になりますよね。
また、糖尿病には1型と2型がありますが、症状や遺伝による影響や予防の仕方も違うのでしょうか。
そこで今回は、1型・2型の糖尿病が遺伝する割合や、子作りへの影響の他、最新の糖尿病の遺伝子検査についても詳しくご紹介していきます。
目次
糖尿病とはどんな病気?
■血糖値の異常によって全身に影響を及ぼす病気
糖尿病とは、血中の糖の量をコントロールするインスリンがうまく働かなくなるために血中の糖の量(血糖値)が上がり、それによって体のさまざまな部分に影響が出る病気です。
なお、初期のうちは喉が渇いて水分を大量に摂る、それによって尿の量が増えるといった「多飲・多尿」と呼ばれる症状の他、体重が減る、疲れやすくなるといった症状が出ることもありますが、無症状の場合も多く、健康診断などで発見されるまで自分では気づかなかったというパターンもあるようです。
しかし、このような初期症状の時に血糖値をそのままにしていると、進行して「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」といった合併症が起こってきます。
さらに、これらの合併症が悪化すると失明、人工透析、足などの切断といった重大な事態になりますので、早目に糖尿病を発見するとともに、血糖値をきちんとコントロールすることが大切です。
■原因や症状が異なる1型と2型
糖尿病には、原因や症状が異なる1型糖尿病と2型糖尿病に分けられ、治療の方法なども少々違ってきます。
【1型糖尿病】
インスリンを作り出す膵臓のβ細胞が何らかの原因で壊れてしまうことでインスリンが全く作られなくなることによって発病し、症状は急速に進行していきます。
そして、インスリンを注射で補わないと、血中にケトン体という物質が増えて「ケトアシドーシス」という危険な症状を引き起こしてしまうため、インスリン注射は欠かせません。
なお、子供や若者が発症することが多く、また痩せ型の人も発症することが多いようです。
【2型糖尿病】
遺伝的に糖尿病になりやすい体質の人が、肥満・運動不足・ストレス・食生活などをきっかけとして、インスリンの働きが弱くなったり、分泌のタイミングが悪くなることで発病します。
そして、症状はゆるやかに進行していくため、食事療法や運動などによって血糖値を正常な状態に近づけていくことが必要になりますが、場合によっては飲み薬やインスリン注射などを行う場合もあります。
なお、中高年の人や肥満体型の人が発症することが多いようです。
糖尿病は「遺伝病」なの?
■糖尿病の発症は遺伝+αで決まる
糖尿病の発症には遺伝子による要因もあることがわかっていますが、その遺伝子を持っているからといって必ず糖尿病を発症するというわけではなく、それに対して食生活などの環境による要因が加わることで発症しますので、糖尿病は遺伝病であるというのは必ずしも正解とは言い切れません。
では、どのような環境の要因が糖尿病の引き金になるのかというと、2型糖尿病では「運動不足」「内臓脂肪の増加」「喫煙」などの要因が挙げられます。
一方、1型糖尿病では残念ながらそのことがはっきりとはわかっていませんが、近年の研究においてはウイルス感染や幼少期のビタミンD不足、母乳ではなくミルクによる育児、清潔すぎる環境などが引き金になるのではないかと注目されています。
■1型・2型糖尿病が子供に遺伝する確率は?
1型・2型糖尿病が遺伝する確率については、アメリカにおいて次のようなデータが出ています。
【1型糖尿病】
・父親が1型の場合、子供が1型を発症する確率は約6%
・母親が1型で、25歳より前に出産した場合、子供が1型を発症する確率は約4%
・母親が1型で、25歳以上で出産した場合、子供が1型を発症する確率は約1%
・親の1型発症が11歳より前だった場合は、リスクは上記の2倍
・両親ともに1型の場合、子供が1型を発症する確率は約10~25%
【2型糖尿病】
・両親ともに2型の場合、子供が2型を発症する確率は50%
・父親か母親のどちらか1人が2型で、50歳前に発症した場合は、子供が2型を発症する確率は約14%
・父親か母親のどちらか1人が2型で、50歳以上で発症した場合は、子供が2型を発症する確率は約8%
これを見ると、両親ともに糖尿病の場合には子供も糖尿病になるリスクが高く、また母親が糖尿病の場合には遺伝する確率が高くなるようです。
糖尿病になる遺伝子は検査できる?
糖尿病などの病気にかかるリスクを前もって知る手段には遺伝子検査があり、近年は病院以外にも糖尿病をはじめとした様々な病気のリスクを調べてくれる遺伝子検査サービスを行う会社もあります。
中でも、株式会社DeNAライフサイエンスが運営するMYCODEの「ヘルスケア」というプランでは、専用のキットに唾液を採取して郵送するという簡単な手順だけで、1型・2型糖尿病をはじめ心筋梗塞や脳梗塞、様々ながんなどの発症リスクなどを一括で調べることができます。
また、検査結果は専門医が監修した詳しい内容をWebページや冊子で見ることができ、生活において予防・改善が可能なものについてはそのアドバイスもきちんと付いていますので、ただリスクを知るだけではなく、自分でできる範囲から病気のリスクに対してアクションを起こしていくことも可能です。
そのため、結婚前のカップルや、家族の病歴から自分も同じ病気にかかるのか不安だという方は検査を受ける価値があると言えるでしょう。
以前、ニュースでハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査によってわかった乳がんのリスクを避けるために乳房切除の手術を受けたことが報じられましたが、これからはこのように前もって病気のリスクを知り、それをさまざまな方法で予防するというのが医療のひとつの流れになるのかもしれませんね。
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糖尿病の遺伝子は子作りに影響する?
糖尿病になりやすい遺伝子を持っている場合、自分が糖尿病を発症していない場合には生活習慣などに気をつけていれば特に妊娠や出産などに影響はないでしょう。
もちろん、子供が生まれてからも子供が発症しないように食生活などに注意する必要があります。
しかし、自分やパートナーが糖尿病を発症している場合には、糖尿病の遺伝リスクが上がるだけでなく、不妊などにつながる可能性も指摘されていますので、妊活中は普段以上に血糖値のコントロールをしっかり行う必要があるようです。
なお、糖尿病の女性は妊娠中に血糖値が上がりやすいために合併症を起こしやすい、奇形児や巨大児が生まれる確率が高くなる、流産・早産しやすいといったさまざまなリスクがあります。
また、1型糖尿病を発症している女性が妊娠すると、母親の高血糖にさらされることによって子供が成人してから2型糖尿病になりやすいというデータも出ているので、注意が必要です。
ですので、糖尿病にかかっている女性が妊娠する際には、主治医とも相談して、運動や体重管理などで血糖値コントロールをしっかり行うことが大切になります。
まとめ
いかがでしたか。
糖尿病は1型・2型ともに遺伝が影響しますが、それだけでは発症せず、食生活などのさまざまな環境因子が合わさることによって発症します。
しかし、糖尿病を発症している両親の子供は1型・2型ともに高い確率で遺伝することがわかっており、また不妊や奇形、早産などのリスクも高くなります。
ですので、糖尿病にかかっている方は妊活前に主治医に相談し、妊活中も血糖値コントロールをきちんと行うことが大切です。
また、現在はこのような遺伝のリスクを遺伝子検査によって簡単に知ることができるようになっていますので、自分は糖尿病ではなくても家族に糖尿病の人がいる方は一度調べてみることをおすすめします。
そして、自分が持っている健康上のリスクを知って、これからの生活に役立ててくださいね。
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