髄膜炎とは?原因と症状を大人と子供別に!初期症状と対処法も

風邪をこじらせたりした時に、「風邪の菌が頭に入る」などと聞いたことはありませんか?

このように、風邪の原因となるウイルスや、その他の細菌が頭に感染して炎症を起こす病気に髄膜炎があります。

そして、髄膜炎の原因となるウイルスや細菌が異なることが多く、また症状も大人と子供では異なる場合があるため、気づくのが遅れてしまうことも多いようです。

しかし、この髄膜炎は治療が遅れてしまうと、最悪の場合には命の危険がある恐ろしい病気でもあります。

そこで今回は、髄膜炎とはどのような病気なのかを詳しくご説明するとともに、大人と子供別の症状、そして注意しておきたい初期症状などをご紹介します。

また、髄膜炎の予防に有効な予防接種についてもご説明しますので、ぜひ髄膜炎の対策に役立ててくださいね。

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髄膜炎とはどんな病気?

■髄膜が炎症を起こす病気

髄膜炎とは、脳を包む膜のひとつである髄膜という部分が感染症などによって炎症を起こし、それに伴いさまざまな症状を引き起こす病気です。

なお、細菌による髄膜炎を「細菌性髄膜炎」、ウイルスなどによる髄膜炎を「無菌性髄膜炎」と呼びます。

そして、無菌性髄膜炎が比較的症状が軽く済むのに対し、細菌性髄膜炎は激しい症状が見られ、速やかに適切な治療を行わなければ後遺症が残ったり、最悪の場合には亡くなってしまうこともあります。

ちなみに、髄膜炎は細菌やウイルスの感染以外にも真菌(カビの仲間)や寄生虫、髄膜に発生したがんや抗生物質などの一部の薬によっても発生しますが、頻度としては細菌やウイルス感染によるものよりはずっと低いようです。

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大人の髄膜炎

原因

大人の髄膜炎は、子供に比べると発症率は大きく低下しますが、体力や免疫が大きく低下している時や高齢者では大人でも髄膜炎を発症する可能性が高くなります。

なお、大人の髄膜炎で主に原因となるのは以下の細菌やウイルスです。

・肺炎球菌

・髄膜炎菌

・インフルエンザ菌

・コクサッキーウイルス

・エコーウイルス

・ヘルペスウイルス

ちなみに、大人の細菌性髄膜炎で最も多いのは肺炎球菌によるものですが、髄膜炎菌による髄膜炎は日本では数が非常に少ないものの、症状の進行が非常に早く、発症から24時間以内に死亡してしまうケースも報告されています。

また、無菌性髄膜炎の原因となるコクサッキーウイルスとエコーウイルスは夏風邪のウイルスとして知られており、特に前者は乳幼児に多いヘルパンギーナや手足口病という病気の原因ウイルスです。

ですので、小さなお子さんと一緒に暮らしている場合などは大人も注意が必要だと言えるでしょう。

症状

大人の髄膜炎の症状は、「激しい頭痛」「発熱(急に高熱が出る)」「項部硬直」の3つが代表的なものですが、これらすべてが現れるわけではありません。

また、この他には嘔吐や明るい光や大きな音を嫌がるといった兆候や、傾眠(うとうとと眠り続けてしまう)、錯乱、昏睡といった意識障害があらわれることがあり、これも髄膜炎を診断する上では重要な手がかりとなる症状です。

なお、最もよく見られるのは激しい頭痛と項部硬直で、項部硬直が起こると首が硬直して頭を前に倒すことができなくなります。

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子供の髄膜炎

原因

6歳未満の子供が髄膜炎を起こした場合、原因となる細菌やウイルスは大人の場合と異なる場合があります。

なお、子供の髄膜炎で原因となるのは次のような細菌やウイルスです。

・Hib(ヒブ、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型)

・肺炎球菌

・エンテロウイルス

・コクサッキーウイルス

・ムンプスウイルス

・マイコプラズマ

特に、Hibによる髄膜炎は幼児がかかる病気の中でも命に関わる危険なもので、新生児が発症した場合の死亡率は3割程度と言われています。

また、命が助かった場合にもおよそ1~2割の子供には脳や神経に重い後遺症が残ってしまうようです。

そして、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスは子供の間で流行しやすい夏風邪の原因となるウイルスで、ムンプスウイルスはおたふく風邪の原因となるウイルスです。

そのため、これらの病気から髄膜炎に移行するケースの他、中耳炎や副鼻腔炎から髄膜炎に移行するケースもあります。

症状

子供の髄膜炎の症状は、6歳以上であれば大人とほとんど同じで、発熱や頭痛、項部硬直や錯乱などと言った症状が見られますが、6歳未満の乳幼児や新生児では違った症状が出ることがあります。

また、子供は自分の体の症状を的確に伝えることが難しい場合もありますので、体調が悪い時には周囲の大人が体の状態をよく観察してあげることが大切です。

なお、乳児や新生児に多い症状は次のようになります。

・機嫌が悪い

・食欲がない(ミルクを飲まない)

・熱が上がる、または下がる

・嘔吐

・発疹

・けいれん

・甲高く泣く

・眠気

・泉門(新生児の頭の中央から前寄りの部分で、柔らかい部分)が膨らんだり、硬くなる

・表情がおかしい(目の向きがおかしい、表情が歪んでいるなど)

ちなみに、新生児や乳児の髄膜炎では項部硬直が起こることはあまりないようです。

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髄膜炎の治療法

■細菌性とウイルス性で異なる治療

髄膜炎の治療は、無菌性髄膜炎と細菌性髄膜炎の場合で内容も緊急度も異なります。

まず、無菌性髄膜炎の場合は原因となるウイルスに対して抗ウイルス薬が存在しないことも多いため、頭痛や嘔吐といったその時出ている症状を和らげる薬を使用しながら経過を見る事になります。

そして、無菌性髄膜炎は重症化することや後遺症などが起こることも少ないため、軽症であれば在宅での治療となる場合もあるようです。

一方で、細菌性髄膜炎は重症化や死亡の危険性が高く、また回復した後にも重い後遺症が起こることがあるため、感染している細菌に応じた抗生物質を大量に投与して原因菌を除去する必要があります。

したがって、髄膜炎が疑われる場合には腰椎穿刺(ようついせんし)といって腰に針を刺し、そこから髄液を採取・培養することで感染の有無や何に感染しているのかを調べるのですが、もし細菌性髄膜炎だった場合にはこの結果を待っている間にも症状が進行してしまう恐れがあります。

そのため、症状などから髄膜炎が強く疑われる場合には、腰椎穿刺による結果が出る前に医師が経験的に抗生物質の種類を推測して治療が開始されるようです。

また、中耳炎や副鼻腔炎などの髄膜炎を起こす原因となった病気がある場合は、再発予防のためにそちらの治療も重要となります。

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髄膜炎の対処法とは?

病院へ行くべき初期症状を知っておこう

さて、ご紹介してきたように髄膜炎は治療が遅れてしまうと非常に危険な状態になってしまう可能性がありますので、髄膜炎が疑われる場合には直ちに医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。

そのために、家庭で髄膜炎を疑うべき症状について、再度おさらいしておきましょう。

【6歳未満の子供の場合】

原因不明の発熱があり、解熱剤を使用しても症状が改善しない場合や、次のような症状が見られる場合には医療機関を受診しましょう。

・機嫌がどんどん悪くなっている

・異常な眠気がある

・食欲がない

・けいれんが起きた

・首が硬直している

【6歳以上の子供や成人の場合】

次のいずれかの症状が見られる場合には、医療機関を受診する必要があります。

・昏迷

叩いたり大声を出すなどの物理的な刺激を与えないと起きない、また起きてもすぐに眠ってしまう状態

・錯乱

・けいれんが起きた

・発熱、頭痛(または発疹)、首の硬直(首の後ろを痛がる、前に曲げられない)のうち2つ以上にあてはまる

・頭を左右に激しく振ると頭痛が悪化する

予防接種は必ず受けよう

髄膜炎への対処法としては予防も非常に重要となっており、そのために有効なのが予防接種です。

特に、髄膜炎の原因となることが多い肺炎球菌とHibのワクチンは生後2ヶ月から接種することができ、ほとんどの自治体では無料で受けられるようになっていますので、必ず行うようにしてください。

そして、0歳の間にはこの他にもさまざまな予防接種があり、一定の期間を開けて複数回に渡って接種を行うものもありますので、早めに医師と相談して予防接種のスケジュールを決めておくことをおすすめします。

また、65歳以上の人および呼吸器や心臓の慢性疾患や糖尿病などの持病がある人には成人用肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されており、年齢などの条件に当てはまる人は予防接種に公費助成が受けられる場合がありますので、お住まいの自治体やかかりつけの医師に問い合わせてみてください。

この他に、重い髄膜炎を引き起こす髄膜炎菌のワクチンも費用は自己負担となりますが接種することができます。

なお、アフリカや中東などの髄膜炎菌による髄膜炎が多発している地域の渡航や、海外留学の際には必ず接種を受けるようにしましょう(前述の地域以外であっても、留学の場合には入学時に接種証明が必要となる学校があります)。

まとめ

いかがでしたか。

髄膜炎は細菌やウイルスなどによって脳を包む膜である髄膜が炎症を起こし、頭痛や発熱、首のうしろの硬直などといった症状を引き起こす病気です。

そして、細菌による髄膜炎の場合には、症状が急速に悪化して命を落としてしまうケースもありますので、髄膜炎が疑われる場合には直ちに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。

なお、発熱や頭痛というと風邪だと思ってしまいがちですが、あまりに頭痛がひどい、首も痛いなどの普通の風邪とは様子が違うと思ったら、念のために病院に行ったほうがいいでしょう。

そして、6歳未満の子供の場合には食欲がなかったり、どんどん機嫌が悪くなっていく場合などにはすぐに病院へ連れて行くようにしてください。

ぜひ今回の記事を参考にして、髄膜炎のサインを見逃さないようにするとともに、予防接種で髄膜炎を予防するようにしてくださいね。

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