糖尿病とアルコール(酒)の種類や量の関係!焼酎は飲んで良い?
糖尿病などの生活習慣病にならないようにするためによく言われるのは、禁酒と禁煙という言葉になります。
しかし、糖尿病患者とはいえ急にお酒とタバコをピタリと辞めてしまうことはなかなか難しいのではないでしょうか。
そのため、糖尿病患者の方はアルコール類の摂取は本当にNGなのか、血糖値にどのような作用をもたらすのか、焼酎はだめなのか、飲んでいい種類はないのか、適量はどれくらいなのか、低血糖との関係はどうなっているか、糖尿病とタバコは関係があるのかなど、いろいろ気になりますよね。
そこで今回は、糖尿病とアルコール(酒)の種類や量の関係について、また、焼酎は飲んで良いのかどうかを検証します。
目次
糖尿病とアルコールの関係について
アルコールは血糖値のコントロール機能を乱す力が働いてしまうので、糖尿病患者になってしまった方は飲酒がNGとされてしまいます。
ただ、アルコールそのものに血糖値を上昇させる力はありません。
しかし、アルコールは肝臓内にあるグリコーゲンをブドウ糖に分解する機能を促進してしまうので、飲酒をした後は一時的ですが血糖値を上昇させてしまいます。
また、お酒には糖質が含まれているものが多く、その糖質によって血糖値が一気に上がってしまうので、糖尿病患者は飲んではいけないと言われているのですね。
ちなみに、糖質を含むお酒はビール・ワイン・カクテル・梅酒・日本酒で、含まないものは焼酎(芋焼酎や米焼酎など)・ウィスキーやブランデーやジンなどのスピリッツ・ウーロンハイやハイボールなどの糖質なしのサワーとなっています。
それなら、糖質が含まれていない焼酎なら飲んでもいいのかというと、そういうわけではなく、他の理由もたくさんあるため基本的に禁酒するように指示されてしまうのです。
◇糖質が含まれていないお酒でも飲んでは駄目な理由
お酒はたとえ糖質が含まれていなかったとしてもカロリーがかなり豊富で、たとえ焼酎であったとしても一合でご飯並盛(140g)よりも多くなってしまうのです。
さらに、アルコールを肝臓で分解するときに中性脂肪を合成してしまうため、中性脂肪の増加や脂肪肝の増加を招いてしまい肥満になりやすくなり、肝機能障害になりやすくなってしまいます。
また、お酒を飲んでしまうと食欲が促進されてしまう人が多く、ついつい食べ過ぎにはしってしまってカロリーを余分に摂取してしまったり、塩辛いものなどの味の濃い物を食べたくなってしまいがちで、肥満になりやすくなり糖尿病を悪化させる危険性があります。
そして、食後に増加した血糖を処理してくれるインスリンが、アルコールの影響を受けることで分泌量の低下を起こしてしまい、血糖値のコントロールができなくなってしまうのです。
◇グリコーゲンとアルコールの関係について詳しく解説
食事をしたことで摂取された糖質は、ブドウ糖に分解されて肝臓に運ばれ、過剰となったブドウ糖は肝臓に吸収されることでグリコーゲンという物質になります。
つまり、このグリコーゲンとは簡単に言うと体内でエネルギーを一時的に保存しておくための物質といえるもので、ブドウ糖が大量につながった構造となっています。
ただ、このエネルギーの塊であるグリコーゲンはアルコールを摂取することでブドウ糖への分解を促進されるようになるので、血液を通って体内に流れ込むようになり、血糖値が上がってしまうようになるのです。
◇アルコールと低血糖の関係は?
糖質が含まれないお酒を空腹時に飲んでしまうと、肝臓にあるグリコーゲンを分解するよりもアルコールの分解が優先して行われるようになってしまうので、血糖が供給されなくなってしまいます。
そうなると低血糖を引き起こしてしまうようになり、アルコール性低血糖の状態になってしまうのです。
また、糖尿病の治療に欠かせないインスリン注射や血糖降下薬などの薬物治療を行っている状態で、空腹時に糖質が含まれないお酒を飲んでしまうと高確率でアルコール性低血糖になってしまうので、注意してください。
どうしても糖尿病患者はお酒を飲めないの?
Yahoo!の知恵袋などの情報共有サイトで、質問として「糖尿病患者はお酒を飲むのはどうしてもだめなのですか?」という非常に心のこもった質問があげられることがあります。
確かに、先ほど説明したように糖尿病患者がお酒を飲んではいけない理由を色々と記載しましたが、逆にある一定の条件を満たしていれば一定量であればお酒を飲んでいいという説もありました。
その条件とは「糖尿病ネットワーク」によると下記になっております。
・体重管理が問題なくできている
・飲酒制限がある合併症や病気になっていない
・血統コントロールが良好の状態になっており安定している
・動脈硬化や高血圧であったとしても軽い状態で済んでいる
・大量には飲まないという制限を守ることができる自制心がある
これらの条件に該当する人は日本の糖尿病のガイドラインにおいて、アルコール摂取量は1日あたり160kcal程度なら飲んでも問題ないと言われており、別の研究結果では1日平均のアルコール量換算で約20gなら通常のアルコール代謝能力がある人なら摂取しても問題ないと言われています。
◇問題をクリアしている人のお酒の摂取量について詳しく解説
アルコール摂取量は1日あたり160kcal程度がどのくらいなのか、そしてアルコール量で約20gとはどの程度のものなのかをここではお伝えします。
具体的に160kcalとはどの程度かというと大体の目安は下記と考えるといいでしょう。
・ビール淡色(350ml 1本):140kcal
・ビール黒(350ml 1本):161kcal
・発泡酒(350ml 1本):157.5kcal
・清酒純米酒(140ml 1合弱):144kcal
・焼酎(60ml 1杯):118kcal
・ワイン(200ml グラス2杯):146kcal
・ウィスキー(30ml シングル1杯):71.1kcal
ただし、これはあくまで文部科学省より発表されている「五訂増補日本食品標準成分表」や「日本食品標準成分表」をもとに記載した目安のようなものなので、摂取したい方は必ずカロリーがどの程度なのかを確認するようにしてください。
また、アルコール量20gとは日本酒なら大体1合、ワインなら2杯、ビールなら中瓶1本がだいたいの目安となります。
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糖尿病とたばこの関係
タバコを吸うと交感神経が刺激されてしまうので血糖値が上昇しやすくなり、血糖値を下げる作用があるインスリンの機能が妨害されるようになってしまいます。
そのため、タバコを吸う人やお酒を飲む人は糖尿病になりやすく、糖尿病患者がタバコを吸い続けると治療の妨げになってしまい、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症になりやすくなってしまうのでしょう。
なので、糖尿病患者が医師に禁煙するように促されるのは、必ず守らなければならない事柄だからと言えるのです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか?
今回は、糖尿病とアルコール(酒)の種類や量の関係について、また、焼酎は飲んで良いのかどうかなどについて詳しくご紹介しました。
まず、お酒は糖質が含まれているかどうかは関係なく、糖尿病を悪化させる様々な因子が含まれているので、基本的に摂取するのはいけないものということでした。
しかし、一定の条件をクリアしている人たちは決められた量以下であれば飲んでも問題ないということでしたね。
また、タバコも血糖値を上昇させるだけではなく、インスリンの働きを妨げるようになるため、治療の妨げになり吸い続けるのはやはりNGということでした。
最後に、お酒をどうしても飲みたいという人は先に記載した条件を確実にクリアしてから飲むようにして、クリアしていない場合は、一杯だけ飲みたいという欲望に負けないようにしましょう。
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