嘔吐の原因となる病気の種類と症状の違いや対処法!季節や年齢で
風邪を引いたり、体調が悪い時に吐き気を感じたという経験がある方は多いのではないでしょうか。
そして、こうした吐き気や嘔吐の原因となる病気には色々な種類があり、原因もそれぞれなので、吐瀉物に血が混じっている時や緑色の吐瀉物の時、下痢が止まらない時、頭痛や熱など症状の違いや、大人や子供で異なる点なども知りたいですよね。
また、嘔吐の症状が現れた時の処理の仕方や食事の注意点についても気になりますよね。
そこで今回は、嘔吐の原因となる病気の種類と症状の違いや対処法を詳しくお伝えしていきます。
目次
嘔吐の原因となる病気の種類と症状の違いは?季節や年齢で
嘔吐の原因となる病気で最も多いのは、胃腸炎ですが、その中でも感染力が強く、突発的な嘔吐に加えて、下痢や熱などを伴うのがウイルス性の胃腸風邪です。
そして、特に11月~3月の寒い季節に流行することが多く、ロタウイルスとノロウイルスの2つのウイルスが原因となって起こります。
それから、原因となる食材は牡蠣やアサリなどの二枚貝ですが、感染した食品や汚染した飲み物を直接口にするだけでなく、感染した人との接触感染や糞口感染など、人から人へとうつることが多いです。
また、原因ウイルスによって症状に違いがあるので、チェックしましょう。
・ ノロウイルス
ノロウイルスは乳幼児から大人まで幅広い年齢の方が感染し、短期間の潜伏期間を経て突発的に下痢や嘔吐が現れ、40度近い高熱を生じます。
そして、子供より大人の方が下痢がひどくなることが多いですが、症状が現れる期間は1~3日と短く、子供の場合も長くても3~5日中には治まるとされています。
それから、吐瀉物や下痢から、貝の腐ったような腐敗した臭いがして、色は白色の水のような便が現れることが特徴です。
・ ロタウイルス
ロタウイルスの患者は圧倒的に乳幼児に多く、ノロウイルスと同様、白色の便ですが、酸っぱい臭いがすることが特徴で、熱は38度程度の状態が長く続くことが多いです。
そして、子供の体に負担になるので、脱水症状を引き起こしやすく重症化しやすいため、十分な注意が必要です。
ウイルス性の胃腸風邪の時の対処法は?食事の注意点も
ウイルス性の胃腸風邪の場合、下痢と嘔吐、発熱と体から体液が失われる症状が続くため、脱水症状になる可能性が非常に高いとされています。
そのため、感染したかな?と感じたら、まずは学校や会社などを休み、自宅で安静にしながら吐き気が治まるまで横になりましょう。
そして、スポーツドリンクなどを少しずつこまめに飲み、失われた体液を補給することが最も大切です。
それから、下痢が水っぽい状態のうちは食事を無理に摂る必要はないので、しばらく水分補給だけで過ごすようにし、便の硬さが少しずつ戻ってきたら、重湯から食事を再開するようにしましょう。
そして、辛い食べ物や肉類、食物繊維が豊富な野菜やきのこなどは、消化器官が弱っている状態では負担になるため、控えることをおすすめします。
吐瀉物が緑色!?病院へ行くタイミングや処理の注意点についても
ノロウイルスに感染すると、最初の6時間くらいは最も吐き気や強く、吐き気止めの薬を使っても症状は治まりませんし、水分を飲んでも吐いてしまうので、とにかく安静にしておくと良いでしょう。
そして、6時間を過ぎる頃には少し楽になるので、水分補給をしてさらに安静にすると良いのですが、6時間~12時間以上嘔吐が続いたり、緑色の吐瀉物が現れたり、明らかな血便や黒色便が見られるようだったら、嘔吐下痢症にかかっている可能性があります。
それから、激しい腹痛や意識障害(顔色が悪いままウトウトするなど)に陥ることもあるので、無理をせずに病院へ行きましょう。
ただし、こうした状態にならない限りは、ウイルス性胃腸炎には病院でも特効薬がなく、治療方法は安静にすることと脱水症状対策しかないので、無理に病院へ行って体力を消耗する必要はないでしょう。
吐瀉物の処理の注意点は?
ウイルス性胃腸炎は、前述の通り人から人へと感染し、特に糞口感染といって便に含まれるウイルスや、吐瀉物の処理の際にウイルスに接触して感染することが多いので、家庭内感染の恐れが非常に高い病気です。
そして、例えば子供が感染してしまい、大人が看病している最中にオムツや吐瀉物がついた服を間違った方法で処理をしてしまい、感染することが多いのだそうです。
そのため、感染者が床に吐いた際や、洋服に吐瀉物が付着した場合には、まずは乾く前に速やかに、手袋とマスク、エプロンをつけた状態で処理をするようにしましょう。
そして、ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムが入った漂白剤を50倍に薄め、該当の場所にキッチンペーパーをしいてから浸し、ペーパー毎拭き取って、個別の袋に入れて縛り、捨てるようにしましょう。
こうした吐瀉物は、乾いてしまうと空気中をウイルスが浮遊して、口の中に入ることで他人に感染してしまうので、速やかに処理をすることと、絶対に素手で触らないように気をつけることがポイントです。
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嘔吐の原因となる病気は他にもたくさんある!?重大な病気や対処法をチェック!
吐き気とは、広い意味ではめまい、腹部全体の不快感、食欲不振、嘔吐感などの不快な感覚を指し、脳の嘔吐反射中枢が刺激されると吐き気が起こるとされています。
そして、この中枢が反応する理由は様々です。
中でも最も多いのは、前述の通り、消化管の働きが乱れて嘔吐反射中枢が刺激されるケースですが、それ以外にも船や自動車などの乗物の揺れや、妊娠初期の吐き気、モルヒネなどの鎮痛剤や、癌の化学療法薬などでも吐き気が起こることはあります。
また、嘔吐は食べたものや胃酸、胃液などの胃の内容物が強力な力で胃から逆流してしまう症状で、例えば胃袋を風船と考えると分かりやすいのですが、風船がパンパンに膨らんだ状態や、風船を外からぐいぐいと押した状態になった時、嘔吐が起きるのです。
なので、よくあるのは二日酔いのときや、腐ったものを食べた時に起こるのは、過剰なアルコールや腐敗した食べ物など、有害なものを吸収せずに排除しようという体の防御機構なんですね。
それでは、胃腸風邪以外にも嘔吐が原因となる病気について、チェックしていきましょう。
嘔吐を伴う怖い病気は?基本の対処法も
・ 急性胃炎、慢性胃炎
ストレスや鎮痛剤服用などが原因で出血を伴うこともあり、外来ではとても多い病気です。
命にかかわる病気ではありませんが、のたうちまわるような痛みが出ることもあります。
そして、胃酸を抑える薬や、胃の粘膜を保護する薬で治療しますが、ストレスが原因であればそれを取り除くのが一番の根本的治療法です。
・ 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
みぞおちの辺りに痛みが出るのが一般的で、胃潰瘍の場合は食後に、十二指腸潰瘍の場合は空腹時に痛みが出やすいとされています。
ただ実際にはあまり傷みが現れづらく、「そんなに痛みは感じませんけどね」とケロッと言われる患者さんに立派な潰瘍が見つかることもあり、一概には言えないものです。
・ 胃がん
50~60歳の男性に多く、ピロリ菌との関連性が指摘されています。
そして、摘出手術が必要なことが多いですが、最近は早期に見つかることも多く、うまくいけば内視鏡治療だけで完全に治療することもできるようになってきたそうです。
・ 盲腸
よくある病気ですが、痛む場所も痛みの程度も人それぞれなので、消化器内科や消化器外科の経験が豊富なベテラン医師でも診断に悩むことが多い病気だそうです。
そして、抗生物質の点滴や飲み薬で治ることもありますが、手術をしなければならないこともあります。
・ 腹膜炎
腹膜に起こる炎症のことで、潰瘍で胃に穴が開いた時や急性すい炎など様々な原因で起こります。
そして、薬で治ることもありますが、ひどい場合は手術が必要とされています。
・ 急性膵炎、慢性膵炎
アルコールの飲みすぎや胆石が原因で起こり、七転八倒の痛みが出ることもあります。
そして、絶食安静でよくなることもありますが、ひどくなると手術が必要になることも。
・ 急性肝炎
A型、B型、C型などのウイルスが原因で起こる病気で、B型肝炎、C型肝炎などの病名でも知られています。
そして通常、安静にしていれば改善していきますが、劇症肝炎という死に至ることもある重症になるケースあるので、早期発見・早期治療が大切です。
・ 胆石症
よく見られる症状としては腹痛、発熱、黄疸(おうだん)があります。
そして、根本的治療としては手術がありますが、一時的な発作であれば、鎮痛剤、抗生物質などを内服して様子をみることもあります。
・ 胆のう炎
胆石症と合併して起こることが多い症状で、発熱を伴い、腹痛が起こります。
そして、抗生物質の点滴などで治療します。
・ 尿路結石
尿路にできた結石により、七転八倒する痛みとともに、吐き気も出現する病気です。
そして、強い痛みと吐き気が突然襲ってくるのと、背中を叩かれた時に飛び上がるような痛みがあり、尿に血が混じっていればかなりの確率でこの病気とされています。
それから、治療法としては、痛み止めの薬を飲みながら、尿に石が出てくるのを待つこともありますし、泌尿器科での手術で石を取ってしまうこともあります。
このように、吐き気と嘔吐だけでもこれだけ多くの病気があり、中には血が混じる場合もあるんですね。
胸焼けを伴う場合は?
吐き気や嘔吐に胸焼けを伴う場合は、胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することで胸焼けが起きている可能性があるので、逆流性食道炎かもしれません。
なので、胃酸を抑える薬で治療するのが基本です。
便秘を伴う場合は?
げーげーとひどく吐いていて便が出なかったら腸閉塞の可能性が高く、消化物や消化液が腸内に留まってしまっている状態です。
そして、食事を止めて腸を安静にするだけで改善することもありますが、その後の処置が必要になるケースもあり、ひどい場合は入院をする必要もあります。
頭痛を伴う場合は?
・ くも膜下出血
突発的な激しい頭痛と、吐き気や嘔吐があるならくも膜下出血の可能性が考えられます。
・ 脳腫瘍
頭痛や物が二重に見えたり、頭蓋骨で囲まれている脳が腫瘍により圧迫されるため、吐き気を催すことがあります。
・ 偏頭痛
20~30代の女性に多く数時間から3日くらい続くズキズキとした頭痛で、それに加えて吐き気に悩まされることが多く、頭痛の薬だけでなく吐き気止めも併用することがほとんどです。
・ 緑内障
眼圧が上昇する病気で、頭痛とともに吐き気や嘔吐が起こるので、眼科で治療を行ないます。
めまいを伴う場合は?
・ 脳出血
小脳は体のバランスをつかさどる脳なので、ここに出血が起き障害が出ると、めまいと共に吐き気が起こることがあります。
・ 脳しんとう
脳が激しくゆさぶられることにより起こる脳障害で、頭の中で脳がぐらぐらとゆらされる結果、吐き気や嘔吐が現れますが、しばらく安静にしていると治ります。
・ 髄膜炎
ウイルスや細菌が原因となり、発熱やけいれんが起きることもある病気で、ひどい頭痛とともに吐き気が現れることが多いそうです。
・ メニエール病
吐き気を伴うようなひどいめまい、難聴、耳鳴りといった症状を起こす病気で、耳の奥にある平衡感覚や聴力を司る内耳という部分に障害が起きているので、耳鼻科で治療を行ないます。
胸痛を伴う場合は?
・心筋梗塞
動脈硬化により心臓に栄養を送る血管が詰まる病気で、胸痛が起こりますが、吐き気や嘔吐などの消化器症状が出ることもしばしばあります。
そして、命に関わることもあるので、心電図をとって確認してから病院で治療を行ないます。
このように、吐き気や嘔吐だけでもかなり多くの病気があることが分かりますよね。
そして、血が混じったり、便秘や頭痛などを伴う場合は特に注意し、できるだけ早く病院を受診するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、嘔吐の原因となる病気の種類と症状の違いや対処法について詳しくお伝えしました。
嘔吐の原因となる病気で最も多いのは冬から春にかけて流行することの多いウイルス性胃腸炎で、ノロウイルスやロタウイルスなどウイルス別の症状の違いや、子供と大人の違い、緑色の吐瀉物が出た時や吐瀉物の処理の仕方についてお伝えしました。
そして、嘔吐が現れる病気には他にもたくさんあり、めまいや胸焼け、頭痛や腹痛など、他にも伴う症状や、血が吐瀉物に混じっている場合などをポイントに症状の説明や対処法もお伝えしました。
嘔吐が現れるのは体が何らかの有害物を受け付けないように反応している証拠なので、軽く見ずに症状をよく観察し、必要があれば病院へ行って対処するようにしましょうね!
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