糖尿病の尿のにおいや色などの特徴!回数や量からの判断基準も!
尿は老廃物を体の外へ出す以外にも、その色やにおいなどを観察することで体の状態をある程度知ることができる、いわば健康のバロメーターです。
これは糖尿病の場合でも例外ではなく、尿の量や回数、においや色などを観察することで糖尿病にかかっているかどうかということや、尿蛋白や菌への感染の有無、合併症などが起こっていないかを知る手がかりになります。
ですので、今回は糖尿病の人の尿には健康な人とは違ってどのような特徴があるのかを量や回数、色やにおい、pH(ペーハー)といった点から比較するとともに、濁りや泡立つ場合などの原因についてもご紹介しますので、ぜひ毎日の健康チェックに役立ててくださいね。
目次
まずは正常な尿について知っておこう
■尿は健康のバロメーター!その基準とは?
尿には体内の老廃物や余分な水分を排出する役割がありますが、それ以外にも量や色などを詳しく見ることで健康状態を知る手がかりにもなります。
毎日トイレで尿をチェックするだけで健康状態がある程度わかるならば、お金も手間もかかりませんし、ぜひ実行したいですよね。
ですので自分の健康状態をチェックするために、まずはその基準となる健康な人の尿の状態について見ていきましょう。
・色
正常な尿の色は、飲食物や激しい運動で汗をたくさんかいた場合などに多少左右されますが、通常は濁りのない淡黄色~黄褐色(茶色がかった黄色)です。
ですので、特に思い当たる原因がないのにこれ以外の色の尿が出るという場合には、何らかの異常がある可能性があります。
・におい
尿のにおいというと、あのアンモニア臭をイメージする方が多いと思いますが、実はあのにおいは尿の中の尿素という物質が空気中の細菌と反応してアンモニアに分解されることで発生します。
つまり、正常な尿は空気に触れてしばらく経過することでにおいが発生しますので、排尿直後から強いアンモニア臭がしているような場合には細菌感染などの可能性があるようです。
しかし、ニラやにんにくのようなにおいの強い食べ物を食べた場合や、運動の後などにも臭いが強く出ることがあります。
・量
正常な尿の量は、飲み物(お茶やコーヒーなどの利尿作用のあるもの)や運動で汗をかいた場合などで個人差はありますが1日で500~2000mlの範囲内とされています。
ですので、あまりにも少ないまたは多い場合や、それと合わせて尿の色が濃いなどのいつもと違う点がある時には、脱水症状をはじめとした何らかの異常を考えたほうがいいでしょう。
・回数
正常な尿の回数はおよそ4~6回程度とされていますが個人差もありますので、先ほどご紹介した量が正常範囲に入っている場合にはそれほど気にしなくてもいいでしょう。
しかし、特に飲食をしているわけでもないのに頻繁に尿意をもよおすという場合や、量も回数も少ないという時には、腎臓や心臓に障害が起きている場合などが考えられますので、尿の他にもいつもと違うことはないか、よく自分の体を観察することをおすすめします。
・pH(ペーハー)
人間の尿は酸性・中性・アルカリ性のうち、弱酸性(pH6前後)が正常であり、尿検査などではpH4.8~7.5が基準値とされています。
なお、この値も食べた物の影響を受けやすく、例えば野菜不足の人や肉などの脂肪分が多い食事を摂っている人は尿が酸性に傾くことがあるようです。
しかし、酸性(pH4.7以下)やアルカリ性(pH7.6以上)の尿が続いているような場合には、尿路感染症や痛風、発熱や糖尿病などの可能性があります。
糖尿病の尿はどこが違うの?
■尿から甘い匂い?尿からわかる糖尿病のサインとは!?
糖尿病というと、「尿から糖が出る」「尿から甘いにおいがする」というようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
実は、糖尿病にかかると尿のにおいだけでなく量や色など、さまざまな部分が健康な人とは違う状態になることがあります。
もちろん、糖尿病になったからといって必ずそのような状態になるというわけではありませんが、尿の異常によって糖尿病やその合併症がわかったというケースもたくさんありますので、糖尿病の人の尿がどのような状態になるのかをしっかりチェックしておきましょう。
・色
糖尿病の初期症状には喉が渇いて水分を大量に摂り、尿の量が増える「多飲・多尿」と呼ばれる症状が出ることがありますが、その時には尿の色が薄いか、ほとんど無色の状態になることが多いようです。
というのも、糖尿病=血糖値が高い状態になると、体はそれを解消しようと増えすぎた糖分を尿とともに外へ出そうとするのですが、その時に本来であれば再吸収されるはずの水分も一緒に出ていってしまい(これが多尿です)、体が脱水状態になってしまうのです。
そのため、糖尿病になると水分を大量に摂るようになりますが(これが多飲です)、その水分もまた出ていってしまうので、結果として数リットル以上飲んでもまだ喉が渇くといった状態になることがあります。
そして、大量の水分によって尿の量が薄められて増えるため、色が薄く無色に近くなっていくというわけです。
ですので、尿の色が無色で特にたくさん汗をかくような運動をしているわけでもないのに1日に、水分だけで数リットルも飲みたくなるという場合には要注意だと言えるでしょう。
・におい
糖尿病の人の尿は「甘い」もしくは「甘酸っぱい」と感じる、独特なにおいが出てくることがあります。
これは、「ケトン体」と呼ばれる物質によるもので、体が糖をエネルギーとして利用することができない場合に、脂肪やタンパク質を分解してエネルギーを作り出した時に副産物としてできるものです。
ですので、糖質を極度に制限したダイエットをしている人や、糖をエネルギーとして利用するために必要なインスリンというホルモンの働きが弱まってしまう糖尿病の人からはそのケトン体のにおい=ケトン臭(アセトン臭)が血流に乗って体臭や口臭、尿のにおいなどに現れます。
なお、ケトン臭は人によっては「砂糖菓子のようなにおい」「果物が腐ったときのようなにおい」「マニキュアの除光液のようなにおい」などと表現されますので、このようなにおいがした時には糖尿病が進行している可能性があるかもしれません。
・量
先ほど、糖尿病にかかっている人の尿の色についてご説明した時に触れましたが、糖尿病の場合には体が脱水症状を起こした状態になるため大量の水分を摂ることで、尿の量も増えます。
ちなみに、16世紀頃の昔から糖尿病というのは「尿が大量に出る病気」として認識されていたことがうかがえる記録も残っています。
一般的に、病的な原因が疑われる「多尿」とされる量は1日あたり3000ml以上で、正常な量である500~2000mlよりもはるかに多い量ですね。
・回数
糖尿病の場合は尿の量が増えますので、尿の回数についても増えるという人が多いようです。
通常、1日に8回以上の排尿がある場合を頻尿と言いますが、回数は体調などさまざまな要因がありますので、頻尿は糖尿病の場合には必ずしもイコールだとは言えません。
しかし、自分で回数が増えたと感じたり、家族など周りの人から指摘された場合には、注意して尿の色や量などを観察しておくといいでしょう。
・pH(ペーハー)
糖尿病の場合には、尿のpHは酸性を示すようになりますが、先ほどご説明したように尿のpHは食べた物などによっても変動がありますし、痛風など他のいくつかの病気でも尿は酸性を示します。
しかし、病院で行う尿検査では尿にケトン体があるかどうかを調べることができ、糖尿病の人の血糖値コントロールがうまく行っているかを判定するのに使われています。
糖尿病で注意すべき尿トラブルとは?
■尿が濁る
尿が濁るような場合に考えられるのは、何らかの細菌に感染して膀胱炎などの尿路感染症を起こしている可能性です。
ただし、ほうれん草やココア、煎茶、バナナ、チョコレート、たけのこなどのシュウ酸という物質が多く含まれている食品をたくさん摂取した場合にも、尿の中にシュウ酸カルシウムという結晶ができて尿が濁ることがあります。
しかし、糖尿病の人は尿路感染症をはじめとした感染症にかかりやすくなるので、注意が必要です。
■尿が泡立つ
尿が泡立つ場合、そしてその泡がなかなか消えないという場合には腎臓に障害が起こっている可能性がありますので要注意です。
通常、健康な人であっても尿に含まれているウロビリノーゲンという物質のために尿が泡立つことがありますし、尿が勢いよくトイレの水と混ざったために泡立つという場合もあります。
しかし、糖尿病の人は尿に糖分が多く含まれていたり、合併症による腎臓の障害で尿蛋白が増えているために尿が泡立つという現象が見られます。
そして、その場合の泡はちょうどビールの泡のような、きめが細かくてなかなか消えない泡になるようです。
なお、糖尿病の合併症による腎臓の障害(糖尿病性腎症)は、悪化すると人工透析が必要な状態まで進行してしまいますので、尿が泡立って気になるという方は一度医師に相談して検査等を受けたほうがいいでしょう。
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糖尿病だとリスク増!?尿路感染症に注意
■糖尿病の女性は特に注意!
さて、「尿が濁る」の項でも触れましたが、糖尿病の人は尿路感染症をはじめとしたさまざまな感染症にかかりやすくなってしまいます。
その理由は不明な点も多いのですが、高血糖の状態が続くことで粘膜が傷つきやすくなるためや、白血球の殺菌作用が低下することなどが挙げられているようです。
そして、糖尿病の女性は男性以上に尿路感染症には気をつけなければなりません。
なぜならば、女性は体の構造上尿道が男性よりも短いために尿路感染症にかかりやすい上に、糖尿病にかかると糖度の高い尿によって細菌が繁殖しやすいからです。
また、糖尿病の合併症によって自律神経に障害が起こると、膀胱の収縮が正しく行われなくなって尿意を感じにくくなったり、排尿しても大量の尿が残ってしまうといった症状が起こる場合があります。
すると、尿によって菌を押し流すことができなくなり、感染症が慢性化してしまう可能性もありますので、糖尿病の場合にはトイレをできるだけ我慢しないことや、トイレットペーパーの使い方(前から後ろに拭く)などで常に注意しておくことが大切です。
加えて、尿の色やにおいといった点も一緒にチェックすれば完璧ですね。
まとめ
いかがでしたか。
糖尿病の尿はごく薄い色や無色であることが多く、またにおいがする場合には独特な甘酸っぱいようなにおいがするほか、量が増えるというのも特徴です。
なお、具体的な量や回数には個人差もありますが、1日に3000mlを超える量や、8回以上の排尿がある場合には、糖尿病だけでなく何らかの病気を疑ったほうがいいかもしれません。
そして、糖尿病では合併症で腎臓の障害や尿路感染症を起こしやすく、その際にも尿が濁ったり、泡立つといった変化が見られることがあります。
ですので、ぜひ今回の記事を参考にして、毎日トイレの後には尿の状態をよくチェックし、体からのサインを見逃さないようにしてくださいね。
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