倦怠感の原因や病気とメカニズム!症状やとれない時の対処法も

仕事や家事を頑張ってこなした後に、「なんだか疲れた」と倦怠感を覚えることは誰にでもよくあることです。

しかし、疲れから来る眠気に合わせていくら休んでも倦怠感がとれないという場合や、倦怠感の他に吐き気や食欲不振などが現れたり、頭痛やめまいがする、微熱がある、寒気がするという場合には少々注意が必要です。

というのも、実は症状の中に「倦怠感」がある病気というのは意外に多く、倦怠感以外の症状がある時には肝臓の病気や心の病気などが隠れている場合があるからです。

そして、そのような倦怠感は病院に行って薬などで治療をしなければもちろん治りません。

そこで今回は、意外とあなどれない倦怠感について、その原因や日常生活でできる治し方についてをご説明するとともに、倦怠感を引き起こす病気とそのメカニズム、病院へ行くべき基準などについてもご紹介していきます。

スポンサーリンク

倦怠感の原因とは?

単なる「疲れ」と「倦怠感」、いったい何が違うの?

誰しも、家事や仕事を終えた後に「ああ、疲れた」と感じたことがあると思いますが、このように日頃感じる疲れと倦怠感はいったいどのような違いがあるのでしょうか。

一般的には、「疲れ」とは肉体や頭脳を使った後に休みたいという欲求や、だるさなどの不快感(この不快感を倦怠感と呼ぶ場合もあります)が生じることです。

そして、睡眠などの休息を取ることによって回復するならばそれは単なる疲れと考えていいのですが、休息を取っても回復しない場合や、疲れるようなことをした覚えがないのに疲れるといった場合があり、このような時には何らかの病気の症状として倦怠感が現れている可能性があります。

日常生活で倦怠感を引き起こす原因

・生活習慣

日々の生活で休息が十分に取れない場合には、疲れがきちんと回復しないまま蓄積されていくことになり、それが倦怠感の原因となることがあります。

また、暴飲暴食などの生活習慣の乱れによって、内臓に過度の負担がかかっていると、たとえ休息の時間が確保できていてもエネルギーが疲労の回復よりも消化などの活動に奪われてしまい、いわゆる休息の質の低下を招いてしまうこともあるようです。

・ストレス

肉体的なストレスはもちろんのこと、精神的なストレスが積み重なることによっても体に倦怠感が現れることがあります。

これは、ストレスによって神経が過剰に興奮したり、ストレスによって分泌されるホルモンによって血圧や心拍数に変化が生じたり、体内のバランスが崩れることが原因です。

また、このようなストレスによる体の変化が長期化すると、心身のさまざまな病気が起こる可能性もあり、その症状の一環として倦怠感が現れることもあるようです。

・栄養バランスの乱れ

偏った食事によってビタミンやミネラルをはじめとした栄養素が不足することにより、倦怠感が現れることがあります。

中でも、ビタミンB群や鉄分が不足すると、エネルギーの代謝がうまく行かなくなったり、貧血を起こしたりして倦怠感を招くことが多いようです。

また、「疲れた時には甘いもの」とよく言われるように、糖分は体にとっては重要なエネルギーとなります。

しかし、甘いものばかりを食べていると血糖値の急激な上昇を招き、体がそれを元に戻そうとすることによって倦怠感が強まってしまうことがあるので注意しましょう。

・なんらかの病気

症状のひとつとして倦怠感が現れる病気は非常に多く存在し、発熱や痛みと同じように体の異常を示すサインであると考えることができます。

なお、そのように倦怠感が現れる病気の中には、風邪やインフルエンザのようなものから精神の疾患、またがんのような命に関わるような重大な病気が隠れている場合もありますので、たかが疲れだと倦怠感を放置しておくのはあまりいいことではありません。

ですので、自分の体の状態をよく観察しつつ、倦怠感に対処していくことが大切だと言えるでしょう。

スポンサーリンク

倦怠感を引き起こす病気とは?倦怠感以外の症状もチェック!

貧血

貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの量が通常よりも少なくなってしまうことによって血液中の酸素が減少し、それによってさまざまな症状が現れる病気です。

なお、貧血が起こる主な原因はヘモグロビンの原料となる鉄分が不足していることであり、これには食事からの鉄分摂取が足りなかったりすることや、女性であれば妊娠や月経などでより多くの鉄分が必要になることなどが関係しています。

そして、貧血の主な症状は次のようなものがあります。

・疲れやすい

・だるい

・動悸や息切れ

・めまいや立ちくらみ

・爪が薄くなり変形しやすくなる

・口の端(口角)が切れやすくなる

風邪・インフルエンザ

風邪やインフルエンザのウイルスが体内に侵入すると、それによって体内の免疫機能が活性化し、その際に分泌される物質によって倦怠感を感じることがあります。

なお、風邪の症状は人によって違いがありますが、主なものは次のようになります。

・鼻水・鼻づまり

・くしゃみ

・せき・たん

・喉の痛み

・発熱

・頭痛

・体の節々が痛む

・だるさ

なお、インフルエンザでは「急に38度を超える高熱が出る」「急に悪寒がしたり、関節痛などが現れる」といったように、風邪よりも急激に症状が悪化することや、全身に症状が現れることが多いのが特徴です。

糖尿病

糖尿病とは、血液中の糖分濃度(=血糖値)の調節を行うインスリンというホルモンの働きが悪くなることで糖分がエネルギーとして正常に消費されなくなり、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。

なお、糖尿病と診断されていなくても、甘いものを大量に食べたり、スポーツドリンクや清涼飲料水を大量に飲み続けていたりすると急性の糖尿病を発症する場合があるようですので、注意が必要です。

そして、糖尿病は自覚症状があまりない病気であり、症状を自覚する頃には病気が進行していると考えられますので、生活習慣や以下の症状に心当たりがある場合には一度医師に相談することをおすすめします。

・だるさ

・倦怠感

・喉が渇く

・尿の量が増える

・体重が急激に減る

・腹痛

・嘔吐

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群とは、近年になってその存在が明らかになってきた病気で、半年以上の期間に渡って非常に強い倦怠感や、体の痛みなどの症状が現れます。

また、原因や治療法などがまだはっきりとわかっておらず、この病気を知っている医師も少ないというのが現状です。

しかし、どんなに休息を取っても解消しない倦怠感が長く続いているという場合や、次のような症状がある場合には、一度内科や心療内科、総合診療科などに相談してみるといいでしょう。

・丸一日休んでも倦怠感が改善しない

・微熱や喉の痛みが続く

・首のリンパ節が腫れている

・眠れない、もしくは寝すぎてしまう

・普段の何気ない動作(何かを持ち上げて片付けるなど)が辛い

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何らかの原因によって呼吸が止まってしまったり、弱くなってしまう病気です。

なお、原因としては舌や軟口蓋(のどちんこの周りの柔らかい部分)が下がって喉を塞いでしまうことや、脳や心臓の血管の病気が挙げられます。

そして、寝ている時の主な症状はいびきや寝汗、頻繁に目が覚めることなどがありますが、起床直後や日中には次のような症状が見られます。

【起床直後】

・口の渇き

・頭痛

・体がすっきりしない

【日中】

・強い眠気

・倦怠感やだるさが続く

うつ病

うつ病は精神の病気としてご存知の方も多いかと思いますが、実はその症状は心身のさまざまな部分に現れます。

そのため、原因不明の体の痛みなどで病院を受診した結果、うつ病と診断されたというケースも多いのです。

そして、気分の落ち込みや集中力の低下、やる気の低下といった心の症状の他によく見られる体の症状には次のようなものがあり、特にだるさや倦怠感、疲れやすいなどはうつ病にかかっている人の半数以上に見られます。

・睡眠障害(眠れない、何度も目が覚める、寝た気がしないなど)

・体のさまざまな部分の痛み(頭痛、肩こり、腰痛、関節痛など)

・食欲減退(ときに増進する場合も)

・だるさ、倦怠感

・動悸、息苦しさ

自律神経失調症

自律神経失調症とは、ストレスやホルモンバランスの乱れ、生活習慣などによって自律神経のバランスが崩れ、様々な症状が起こる病気です。

ちなみに、自律神経とは呼吸や消化、ホルモンの分泌や血管の収縮などの自分の意思とは関係なく行われているさまざまな体の機能を司る神経であり、そのために症状も多彩で個人差が大きいのが特徴になります。

そのため、原因不明の症状に対して安易にこの病名が使われているという意見もありますので、もしこの病気だと診断された場合にはセカンドオピニオンを求めるなどの対応も考える必要があるようです。

なお、主に挙げられる症状は次のようなものがあります。

・倦怠感

・微熱

・めまい

・しびれ

・吐き気

・過呼吸

・頭痛

・不安感、イライラ

スポンサーリンク

日常生活でできる倦怠感への対処法とは?

まずは生活習慣を見直そう

日常生活で倦怠感を感じる場合にまず行うべきなのは、十分な休息を取る時間を確保するとともに生活習慣を見直すことです。

具体的には、睡眠時間の確保や睡眠の質を高める工夫(寝る直前にパソコンやスマートフォンの画面を見ない、寝室の温度や湿度に気をつけるなど)をするとともに、食事の栄養バランスなども見直すようにしましょう。

また、疲労に効果のある栄養素(ビタミンB、C、E)を食事の中に積極的に取り入れるのもおすすめです。

なお、これらの栄養素は野菜や果物、肉や魚、牛乳や納豆などのさまざまな食材にそれぞれ含まれていますが、どうしても偏りがちだという方はサプリメントなども上手に活用してみてはいかがでしょうか。

精神的なストレスへの対処法

体の休息だけではなかなか解消しづらい面もあるのが精神的なストレスですが、近年欧米を中心に取り上げられている次のようなストレス対処法がありますのでご紹介しましょう。

・マインドフルネス

マインドフルネスとは、「自分の今この瞬間の状態」にのみ注意を向けることによって、その状態をあるがままに受け入れることで、「瞑想」の一種だとも言われています。

一般的に、ストレスになるようなこと(例えば、他人からの言葉など)というのは、ある物事に対して自分の感情が無意識に反応し、それにとらわれている状態です。

言い換えると、物事がストレスになるかどうかというのは、自分がその物事をどう捉えるのか、そしてどのような感情で受け止めるのか次第になります。

ですので、マインドフルネスではその感情の部分を常にフラットな状態にし、物事のみを受け止めることができるようになることを目標としています。

なお、方法はいろいろありますが、一番簡単なのは「しばらくの間、目を閉じて呼吸に集中する」ということですので、少しの間だけでも考えるのを止めて、自分と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。

・コーピング

コーピングとは、日本語では「ストレス対処法」と言われているもので、ストレスの原因やストレスによって起こる感情に自分なりの方法でアプローチすることです。

例えば、残業が続くことがストレスになっている場合に、仕事の効率化を部署で話し合って実行すること(ストレスの原因にアプローチする)や、休日に趣味に没頭して嫌な気持ちを忘れる(ストレスによって起こる感情にアプローチする)ことなどがコーピングになります。

特に、ストレスによって起こるマイナスの感情を取り除こうとするといういわゆる「気晴らし」は、ストレスの原因を取り除くことが難しい場合にも有効ですので、できるだけ多くの自分なりの気晴らし方法を見つけておき、さまざまな方法を試すのがよいとされています。

ですので、あらかじめ手帳などに「嫌な気分になったらすること」「体が疲れていると感じたらすること」を書き出しておき、ストレスを感じた時にそのリストの内容を実行するなど、ストレスを感じてしまう前に気晴らしの手段を確保しておくといいかもしれませんね。

スポンサーリンク

倦怠感が取れない時の対処法とは?

倦怠感を放置しておくと危ない?

倦怠感をただの疲れだと思って放置しておくと、思わぬ病気が隠れている可能性もあるだけではなく、その状態が病気を招いてしまうこともあるので注意が必要です。

というのも、先ほどご紹介した以外にも倦怠感が起こる病気というのは数多くあり、中にはがんや結核、心臓や肝臓の病気などの重大な病気も含まれています。

そして、それ以外にも倦怠感が続いているという状態を放置しておくと、それがうつ病などの心の病気に進行してしまうこともあります。

ですので、倦怠感を感じる場合にはまず日常生活の中で休息などの対処法を取り、それでも回復しないという場合や、あまりにも長く倦怠感が続く場合、そして疲労するようなことをした覚えがないのに倦怠感がある場合には、医療機関を受診して医師の診察を受けるようにしてください。

病院へ行くべき時と診療科

倦怠感で病院に行く時には、なるべくならば複数の診療科のある大きな病院の総合内科や総合診療科を受診することをおすすめします。

なぜならば、倦怠感の原因となる病気は非常に多岐にわたるため、複数の診療科にまたがって治療を受ける必要が出てくることもあるからです。

ただし、大きな病院では患者が集中することによって医療サービスの質が低下しないように、比較的高額な初診料を設定している場合や、他の病院からの紹介以外は診察を受け付けないというところもあります。

そのような場合には、かかりつけの内科や心療内科のクリニックで相談して、紹介状を書いてもらうなどの方法を取ってみてください。

また、診察を受ける際には、倦怠感がどのくらい続くのか、1日の中で特に強く倦怠感を感じる時があるか、また他にどのような症状があるのかなどをあらかじめ記録しておくと診察がスムーズに行えますので、日々の体調を記録しておくことをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか。

倦怠感の原因には、生活習慣やストレス、栄養バランスの乱れの他に、なんらかの病気にかかっている可能性などが挙げられます。

そして、倦怠感というのは痛みや発熱のように体の不調を示すサインのようなもので、倦怠感を症状とする病気は風邪や貧血といった比較的ありふれたものから、うつ病や自律神経失調症などの心や神経の病気や糖尿病やがんなどの重大な病気など非常に多くの種類が存在します。

なお、日常生活における対処法としては生活習慣や食生活を見直すとともに、ストレスに対しては自分なりの解消法を見つけるなどして上手に付き合っていくことが大切です。

そして、それでも倦怠感が改善しない場合や、疲れることをしていないのに倦怠感が消えないといった場合には総合診療科や総合内科などを受診し、医師の診察を受けるようにしてください。

ぜひ、今回の記事を参考にして倦怠感を放置せず、上手に対処してみてくださいね。

スポンサーリンク

このページの先頭へ