遅延型アレルギーの原因や症状と検査料金や方法!嘘に注意!

遅延型アレルギーとは、アレルギーの中でも症状が現れるまでに数時間、場合によっては24時間以上かかるもので、花粉症や食物アレルギーなどの反応がすぐに現れる即時型アレルギーに対してこのように呼ばれています。

ちなみに、遅延型アレルギーには虫刺されやかぶれなど、私たちにも身近なものも含まれています。

また、最近は小麦や卵といった食品による遅延型アレルギーがあることがわかってきており、アトピーが悪化するなどの皮膚症状以外にも、一見アレルギーとは気づきにくい多様な症状が起こるようです。

そのため、遅延型アレルギーを発見して治療したいと思う方も多く、食品の遅延型アレルギー専門の検査キットや、それを使って検査を行う病院なども登場しています。

しかし、実は遅延型アレルギーの検査は嘘だという噂もあり、本当に有用な検査なのかどうか、真相が気になりますよね。

そこで今回は、遅延型アレルギーについて、その主な原因や発生の仕組みなどとともに、遅延型アレルギーの検査方法や料金、嘘だと噂される検査やその理由などもご説明していきます。

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アレルギーとはどんなもの?

原因となるのは免疫反応

アレルギーとは、特定の物質に対しての免疫反応が過剰に起こることで体にさまざまな症状が起こることです。

本来、免疫反応は体の中にある異物(細菌やウイルスなど)を見つけ、それを体から追い出すための反応であり、人間が生きていくためには必要不可欠な機能です。

しかし、何らかの原因でそれが細菌やウイルス以外の、身の回りにあるありふれたもの、例えば、

・スギ花粉のような植物の一部

・洗剤などに含まれている化学物質

・動物の毛

・食べ物

などに対しても異物と判断して免疫反応が機能してしまうことがあり、それをアレルギーと呼んでいます。

ちなみに、アレルギーがなぜ起こるのかということは残念ながらはっきりとわかっていませんが、生活環境やアレルギーの元となる物(=アレルゲン)に長期間触れていること、遺伝などが関係している可能性が指摘されています。

即時型アレルギーと遅延型アレルギー

アレルギーにはその反応が起こるまでの時間によって、即時型アレルギーと遅延型アレルギーに分類することができます。

まず、即時型アレルギーとは、アレルゲンに触れた直後から最大4時間以内に症状が現れる場合で、これにはIgEと呼ばれる抗体(リンパ球の一種であるB細胞によって作られる、異物に対しての目印)が深く関係しています。

一方で、遅延型アレルギーではアレルゲンに触れてから24時間以降に症状が現れる場合が多いようです。

また、遅延型アレルギーではIgE抗体によってではなく、血液中のリンパ球の一種であるT細胞の働きによってさまざまな症状が引き起こされます。

つまり、即時型アレルギーと遅延型アレルギーは、症状が現れるまでの時間だけではなく、免疫機能の反応する部分が異なるということです。

このように、ひとくちにアレルギーと言っても発生のしくみが異なるものが存在しており、花粉症や食物アレルギーだけではなく、体の正常な細胞を免疫システムが攻撃してしまう自己免疫疾患などもアレルギーに含まれます。

そのため、医学的にはアレルギーを発生のしくみによってⅠ~Ⅴ型の5種類に分類して扱っており、その分類に従うと、即時型アレルギーはⅠ型アレルギー、遅延型アレルギーはⅣ型アレルギーです。

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遅延型アレルギーとはどんなもの?主な遅延型アレルギーとその原因

接触皮膚炎

接触皮膚炎とは、洗剤や化粧品などによって皮膚が赤くなったり水疱ができたりといった炎症が起こるアレルギーで、いわゆる「かぶれ」がこれに当たります。

なお、原因となるものには先ほど挙げた他にも、ウルシやサクラソウ、マンゴー、ゴムなどの植物や湿布、消毒薬といった医薬品などがよく見られる原因です。

しかし、身の回りにあるもので、皮膚に触れる可能性があるものはほとんどが原因になる可能性があるので、原因となる物質をはっきりさせることが大切です。

金属アレルギー

金属アレルギーは接触皮膚炎の一種とされているもので、アクセサリーや時計のバンド、ベルトのバックルや歯科用の金属によって、体と接触している部分やその周辺の皮膚や粘膜に炎症が起こるアレルギーです。

なお、金属そのものがアレルギーを起こすのではなく、汗や唾液などによって金属から溶け出した金属イオンが皮膚などに浸透し、それが体のタンパク質と結びつくことでアレルゲンとなります。

また、化粧品などに含まれている金属や、皮製品(なめしの工程にクロムが使用されます)、カミソリの刃なども原因となりやすいようです。

一方で、豆類やチョコレート、ナッツ類や海藻などの食べ物に含まれている金属が腸から吸収されて汗の中に排出されることで、手のひらや足の裏といった汗をかきやすい場所にかゆみを伴う水疱が現れることがあります。

この場合には接触によって起こる金属アレルギーに対して「全身性金属アレルギー」と呼ばれることがあり、アレルゲンとなっている金属を含む食材を控えることで症状の改善が期待できるようです。

薬物アレルギー

薬物アレルギーとは、飲み薬や注射薬、湿布や塗り薬といった薬剤よって起こるアレルギーで、即時型のものや遅延型のものなど、さまざまな反応が起こります。

また、処方薬のような効果の強い薬だけではなく、市販の風邪薬や頭痛薬などの普段から家庭にある身近な薬でも発症するアレルギーです。

そして、現れる症状もさまざまで、赤い発疹や水ぶくれなどが現れる皮膚症状(薬疹)や、肝臓や腎臓などの内蔵機能に障害が起こるものなどがあり、命の危険がある深刻な状態になることもあるようです。

虫刺され

虫刺されによって皮膚が赤くふくらんだり、かゆみが起きるというのもアレルギー反応によるものですが、刺されてからすぐに反応が現れる場合と、反応が現れるまでに24時間以上の時間がかかる場合があります。

つまり、虫刺されによるアレルギー反応には、即時型アレルギーが起こる場合と遅延型アレルギーが起こる場合の2つのパターンがあるということです。

そして、この2つのパターンのどちらが出るかは、個人差はありますが、その虫に刺された回数によります。

具体的には、赤ちゃんの頃には遅延型アレルギーのパターンが多く、年齢が上がるにつれて即時型アレルギーのパターンが多くなっていくようです。

ただし、ごくまれに蚊に刺された場合に刺された箇所がひどく腫れて跡が残るような傷になるだけでなく、発熱やリンパ節の腫れなどの重い症状が現れる人がおり、この症状を「蚊アレルギー」「蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)」と呼びます。

また、このような症状が起こる人はEBウイルスというヘルペスウイルスの一種に感染している可能性があるようですので、一度医師に相談することをおすすめします。

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最近話題の「遅延型食物アレルギー」とは?

まだ未解明の部分が多いアレルギー

最近、食物アレルギーにも遅延型の症状を示すものがあることがわかり、現在も研究が進んでいます。

なお、以前から新生児や乳児には、ミルクやその他の食品(米や大豆、果物など)によって、嘔吐や下血などの消化器症状を中心とした遅延型のアレルギーが起こることがあるというのは知られていましたが、これはほとんどの場合が成長とともに治るアレルギーです。

しかし、近年は大人にも特定の食べ物を摂取してから数時間後にかゆみや湿疹などさまざまな症状を示す遅延型食物アレルギーが起こることがわかってきており、世界中で研究が行われています。

そのため、この大人の遅延型食物アレルギーについては、従来の分類によるⅣ型アレルギー(リンパ球による反応)だとする説や、即時型アレルギーとは違う種類のIgGという抗体が関係するⅢ型のアレルギーだとする説などがありますが、正しい説はこれからの研究が進むのを待つしかないでしょう。

アレルギーとは気づきにくい症状も

遅延型食物アレルギーの症状は、即時型の時に見られる皮膚のかゆみや発疹、下痢や腹痛といった消化器症状以外の多様な症状があると言われています。

例を挙げると、頭痛・めまい・倦怠感・肌荒れ・肩こりなどがあり、アレルギーであるとは本人も医師も気づきにくいものが多いことが特徴です。

ですので、遅延型の食物アレルギーを疑う場合には、あらかじめ自分でも食べたものを毎日記録するなどして、いつ、どのような時に症状が出るのかということをある程度自分でも把握した上で医師に相談するといいでしょう。

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遅延型アレルギーの検査方法

即時型と遅延型では検査方法が違う?

アレルギーを調べるための検査には血液検査をはじめとしたさまざまな方法があり、一番有名なのはテレビなどでも見かける血液検査ではないでしょうか。

しかし、これは即時型アレルギーに関係するIgE抗体を調べるもので、IgE以外が関係する遅延型アレルギーを調べることはできません(ある程度はわかりますが、それがアレルギーの原因であると断定はできなません)。

そのため、遅延型アレルギーを調べるには次のような方法が使われます。

1:パッチテスト

パッチテストは、アレルゲンと疑われる物質をシールで皮膚の表面に貼り付け、48時間後にはがして皮膚の状態をチェックする検査です。

この時、シールを貼った部分に発疹や赤み、腫れなどが見られた場合には、アレルギー反応が陽性となります。

ちなみに、美容室などでカラーリング剤を初めて使用する際にも、このパッチテストによってアレルギーの有無をチェックしていますので、体験したことがある方もいるかもしれませんね。

2:食物経口負荷試験

食物経口負荷試験とは、食物アレルギーの原因となっている食材を特定するための検査で、実際にその食材を少量食べてみて、時間の経過とともにどのような反応が出るかを観察します。

そのため、もし重い症状が出た場合にもすぐに対応できるように、専門の医師がいる限られた病院でしか行われておらず、また場合によっては入院しての検査となります。

3:リンパ球刺激試験

リンパ球刺激試験は、遅延型アレルギーに関係しているリンパ球(T細胞)の反応を見るための血液検査です。

具体的には、採血した血液中のリンパ球にアレルゲンと疑われる物質を加え、それを培養して反応を見ることでアレルギーの有無を調べます。

しかし、この検査ではアレルギーを持っていない人でも陽性と出ることが多いために、薬物アレルギーなど限られた状況で使われることが多いようです。

また、こちらの検査は病院によっては行っていないところもあるようですので、この検査を受けたい場合にはアレルギー科のある比較的大きな病院で相談することをおすすめします。

遅延型アレルギーの検査費用は?

遅延型アレルギーの検査費用は、何種類の物質に対してアレルギーの有無を検査するか、入院しての検査か通院しての検査かなどの条件によって価格が異なりますが、おおよそ次のようになります。

・パッチテスト…1000~8000円

・食物経口負荷試験…20000~50000円

・リンパ球刺激試験…15000円

(※すべて3割負担時の価格です)

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嘘?高額な検査には注意しよう!

遅延型食物アレルギーの血液検査

近年、遅延型食物アレルギー(もしくは遅延型フードアレルギー、隠れアレルギーなど)がわかるという血液検査が登場しており、一部の病院で実施されている他、検査キットを購入して検査会社に送ることで受けられるようですが、現在この検査が問題になっています。

なぜかというと、この検査は血液検査によってIgG抗体を調べるというものなのですが、

・通常のIgE抗体を調べる即時型アレルギーの血液検査とは違って保険が適用されないために数万円もの費用がかかる(病院によって異なりますが、およそ2~4万円前後)

・IgG抗体と遅延型アレルギーとの関係がまだはっきりとわかっていない

ということがあるからです。

また、アレルギーのない人でも食物に対してのIgG抗体は存在するので、血液検査の結果とアレルギー症状の現れは必ずしも一致するわけではありません。

例えば、普段から問題なく食べている米や小麦に対してIgG抗体が陽性と出る場合もあります。

そして、そのような人がIgG抗体の値が高いからと米や小麦を摂らないようにするとしたならば、主食をはじめとしたかなりの種類の食品が食べられなくなってしまうことになり、それによって栄養が偏ってしまうというリスクも指摘されています。

そのため、このIgG抗体を調べる遅延型食物アレルギーの血液検査については、本当に必要な検査なのかどうか、医師の間でも意見が分かれるところです。

アレルギーの専門家の意見は?

このような遅延型食物アレルギーの血液検査に対して、アレルギーを専門とする医師による日本小児アレルギー学会および日本アレルギー学会では、この検査に注意を促す文書をホームページ上に掲載しています。

なお、この文書の中では血中食物抗原特異的IgG抗体検査(IgG抗体を調べる遅延型食物アレルギーの血液検査)について、欧米のアレルギー学会では有用性が否定されていることを挙げるとともに、「食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しない」と述べており、その理由は以下のようになっています。

・食物に対してのIgG抗体は食物アレルギーのない人にも存在する

・この検査結果をもとに陽性の食品を食べないように指導した場合、多くの品目に渡って陽性反応が出ている人は健康を害する可能性がある

つまり、このIgG抗体を調べる食物アレルギーの検査において陽性が出たからといって、それが本当にアレルギーの原因になっているのかどうかはわからないということです。

ですので、もし遅延型食物アレルギーかもしれないと思っている方は、まずは毎日の食べたものと症状が発生した時をしばらく記録した上でアレルギー科の専門医の診察を受け、検査などをしてもらうことをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか。

遅延型アレルギーは原因物質に触れてから24時間程度経過してからさまざまな症状が体に現れるもので、その原因は化学物質や植物、金属、そして普段の食べ物と、非常にたくさんの種類がありました。

また、原因物質に触れた直後から発生する即時型アレルギーとは違い、肩こりやめまいといった一見アレルギーだとは気づきにくい症状が現れることも特徴なのでしたね。

なお、遅延型アレルギーの検査には原因物質を肌に貼ったり、食べるなどして実際に体に取り入れて反応を見るものと、リンパ球を培養して行う特殊な血液検査がありました。

ただし、血液検査の中にはアレルギーの専門家が効果を疑問視しているだけでなく、高額な費用が必要となるものがあるので注意が必要なのでしたね。

ぜひ、今回の記事を参考にして、遅延型アレルギーが疑われる時にはアレルギー科の専門医がいる病院を受診し、症状を相談してみてくださいね。

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