機能性ディスペプシアの原因と吐き気などの症状!漢方の注意点も

%e7%94%bb%e5%83%8f%ef%bc%91機能性ディスペプシアという病気の概念は、近年になって新しく確立したものなので、まだ詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。

なので機能性ディスペプシアとは何かといったことや、原因と吐き気などの症状や病院での治療法、処方される治療薬でアコファイドや、六君子湯(リックンシトウ)など漢方の注意点についても知りたいですよね。

また、機能性ディスペプシアの完治の見込みや、治療中の食事の注意点についても気になるのではないでしょうか。

そこで今回は、機能性ディスペプシアの原因と吐き気などの症状や、漢方の注意点などについても詳しくお伝えしていきます。

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機能性ディスペプシアとは?原因や症状の特徴、完治の見込みについても

機能性ディスペプシアとは、胃の傷みや胃もたれなどのつらい症状が続いているにもかかわらず、内視鏡検査などを行なっても異常が見つからない病気です。

でも、なぜこんなことが起こるのでしょうか?

これは、ストレスの影響を最も受ける臓器が「胃腸」であることと関連していて、炎症が見つからないにも関わらず胃炎が起きている状態を機能性ディスペプシアと呼ぶようになり、こうした概念はまだ最近になって確立されたものだそうです。

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そして、炎症が起きているわけではないので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどへ発展することはなく生命にかかわる病気ではないのですが、つらい症状により患者の生活の質を大きく低下させてしまう病気とされています。

それから、それぞれ症状に応じて2つのタイプに分かれます。

・ 食後愁訴症候群(PDS)

「つらいと感じる食後のもたれ感」「食事開始後、すぐに食べ物で胃が一杯になるように感じて、それ以上食べられなくなる感じ(早期飽満感)」が週に数回起こるタイプです。

・ 心か部痛症候群(EPS)

みぞおちの痛みや焼ける感じが起こりやすいタイプで、これらの症状はPDSと異なり、食後だけでなく空腹時にも起こることがあります。

そしてその他の細かな症状としては、

・ 吐き気

・ ムカムカする

・ 傷み

・ 食欲不振

・ 酸っぱいものが上がってくる

・ 食後のもたれ

といったものも現れるそうです。

こうした機能性ディスペプシアの疾患は、日本人の4人に1人が罹患しているとされていて、決して珍しい病気ではなく誰もがかかる可能性のある病気です。

完治の見込みは?

機能性ディスペプシアは、病気の性質上、腫瘍や炎症のようにはっきりと治ったと断言できる証明がなく、長期間症状がでないことで仮の完治とみなすしかないので、完治の見込みがどれくらいあるかという点についてははっきりとしていないそうです。

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機能性ディスペプシアの病院での治療法!漢方の注意点も

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機能性ディスペプシアと診断されたら、患者の症状や原因に応じて、医師が次のような薬の中から処方し薬物療法を行ないます。

・ 消化管運動機能改善薬

胃もたれや早期飽満感がある場合には、消化管の働きを活発にする消化管運動機能改善薬が使われることがあります。

そして、この薬にはドーパミンD2受容体拮抗薬、セロトニン5-HT4受容体作動薬など、様々な薬があります。

・ アコファイド(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)

アコファイドは、消化管運動機能改善薬と同じように、胃や腸の運動を活発にすることで、機能性ディスペプシアを治療します。

というのも、これら消化管の働きに関わっている物質として、アセチルコリンと呼ばれる物質があり、この物質が多く存在すると消化管の運動が活発になります。

そして、私達の体の中にはアセチルコリンを分解する酵素が存在しており、この酵素をアセチルコリンエステラーゼと呼ぶのですが、アセチルコリンエステラーゼが存在することによって、消化管運動の活性化に関わるアセチルコリンが分解されてしまいます。

そのため、このアセチルコリンエステラーゼの働きをアコファイドを使って抑えれば、アセチルコリンの量が増やすことができ、結果として消化管の運動が活発になるという仕組みですね。

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その結果、胃や腸の働きがスムーズになり、食後の食べ物の流れが良くなって、症状を緩和することができるそうです。

・ 酸分泌抑制薬(ヒスタミンH2受容体拮抗薬;H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬;PPI)

十二指腸に胃酸が流れこむことによって胃の運動機能が低下し、様々な機能性ディスペプシアの症状が引き起こされることが知られています。

また、胃が知覚過敏の状態では正常な胃酸分泌であっても、みぞおちの焼けるような感じや痛みを感じることがあるのですが、酸分泌抑制薬は胃酸の分泌を抑えることで、こうした症状を改善する作用があります。

・ 抗うつ薬、抗不安薬

消化管運動機能改善薬や酸分泌抑制薬でも症状が良くならない場合は、抗うつ薬や抗不安薬が処方されることがあります。

・ ピロリ菌を除くための薬物療法

ピロリ菌に感染している機能性ディスペプシアの患者に除菌療法を行なうと、症状が改善するという報告もあるそうです。

そして、ピロリ菌の除くために3種類の薬(主に抗菌薬2種類と、プロトンポンプ阻害薬)を7日間のみ続ける治療法がありますが、日本ではまだピロリ菌を除く治療は一部の患者にしか保険適応が認められていないため、保険適応内で行なうことは難しいようです。

漢方薬での治療

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機能性ディスペプシアは様々な薬で治療ができますが、症状を一時的に抑えることしかできなく、結果的に薬と長くつき合うことになってしまうため、胃腸の機能を整え根本的な治療をするため、心身の状態を総合的に捉える漢方治療を選ぶこともできます。

そして、漢方薬を構成する生薬の中で、胃腸を補い整えるものの代表として人参や甘草などがあり、それらを総合して作られた薬として人参湯や四子君湯(シクンシトウ)が有名ですが、これらは胃が弱く冷え性ですぐに胃もたれするような方に処方されるそうです。

また、六君子湯は、四君子湯と胃のむかつきに用いられる二陳湯(ニチントウ)が組み合わされた処方ですが、最近の研究では胃の排泄機能を改善したり、グレリンという食欲に関連するホルモンの感受性を高めることで食欲改善効果があることが分かってきています。

さらに、抗ストレス作用のある生薬で柴胡を中心に、芍薬、甘草、くこの実を組み合わせた四逆散などは胃炎や胃酸過多に効果的で、保険適応内で処方が可能だそうです。

このように、漢方薬で心と体のつながりを捉えて根本的に治療を行なっていくことも可能ですが、漢方薬は先に紹介したような西洋薬に比べて即効性が低く、患者の生活の質を早急に改善することはできないという注意点があります。

そのため、医師とよく相談してから治療法を決定するようにしましょう。

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機能性ディスペプシアの治療中の食事の注意点は?

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機能性ディスペプシアを治療中の患者は、食生活を中心に、次のような生活習慣に関する指導を受けるそうです。

・ できるだけ決まった時間に食事を摂るようにする

食事の時間が不規則だったり、夜遅い時間や、特に就寝前に食事をとったりすることは、胃に過剰な負担をかけることになります。

・ よく噛んで、ゆっくり食べる

口の中で食べ物をよく噛んで細かくすることによって胃で消化しやすくなり、胃の負担が少なくなります。

・ 食事の量は腹八分目に

食事の量を摂りすぎると、胃に大きな負担をかけて、胃酸の過剰分泌を引き起こす原因となります。

・ 胃に負担のかかる食事を摂りすぎないようにする

甘いものや唐辛子などの刺激の強い香辛料、脂肪分の多い食事を摂りすぎることは、胃もたれや胃酸の過剰分泌を引き起こす原因となります。

・ 食後には休憩をとる

食事のすぐ後に運動をすると、胃の働きが弱まってしまいます。

・ 睡眠を充分にとり、ストレスや疲れをためないようにする

胃腸は、精神的・肉体的なストレスの影響をとても受けやすい臓器なので、1日の疲れはその日のうちにとるようにしましょう。

・ 適度な運動をする

適度な運動は消化管の働きを活発にし、ストレス発散にもつながります。

・ アルコールの摂りすぎに注意し、禁煙を心がける

アルコールは胃酸の分泌を増やすので、アルコールの摂りすぎには注意が必要です。

また、喫煙は胃の血液量を低下させ胃の働きを悪くするため、できるだけ禁煙を心がけるようにしましょう。

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ストレスの改善の難しさについて

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精神的であっても肉体的であっても、ストレスを本人が認識している場合は改善の余地があるのですが、機能性ディスペプシアの患者の多くは本人がはっきりと気づいていない場合や、無意識にそのことを考えるのを避けている場合もあるので、簡単に改善することができません。

また、身体的ストレスの原因が仕事である場合、ストレスがあるからといって仕事を辞めるわけにはいきませんよね。

なので実際には、睡眠時間を増やしたり、食事の仕方を胃腸に負担の少ないやり方に改善するなど、比較的に楽に改善できる部分から試みていくしかありません。

ただし、対症療法として使用した抗不安薬などによって、ストレスが和らいで症状が改善したという報告はよくあるそうなので、薬によるサポートも積極的に受けながら、信頼のできる医師とのコミュニケーションで少しずつ改善していくようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、機能性ディスペプシアの原因と吐き気などの症状や、漢方の注意点などについても詳しくお伝えしました。

機能性ディスペプシアとは、胃の傷みや胃もたれなどのつらい症状が続いているにもかかわらず、内視鏡検査などを行なっても異常が見つからない病気で、心理的なストレスが原因とされているのでしたね。

そして、ツライと感じる食後のもたれや早期飽満感などのPDS、みぞおちの痛みや焼けるような感じがあるEPSの2タイプがあり、吐き気などの症状が現れるのでした。

そのため、薬物療法でアコファイドの投与や、即効性はないが根本的に治療したい方のために六君子湯などの漢方薬での治療を行い、食生活を中心とした生活習慣の改善を心がけると良いとのことでした。

病気の性質上、腫瘍や炎症のようにはっきりと完治したと言えるものがなく、治療期間が長くなりがちな病気ですが、信頼できる医師と相談しながらじっくりと治していきましょうね。

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