糖尿病性ケトアシドーシスの症状とpHとの関係!治療の仕方も

%e7%94%bb%e5%83%8f1糖尿病患者の方なら糖尿病ケトアシドーシスという言葉を聞いたことはありませんか?

しかし、糖尿病患者でない方は聞いたことが無い人も多いでしょうし、症状を知らない人も多いと思います。

そのため、具体的な疑問点を整理してみると

・pHとの関係性や治療方法は?

・そもそも糖尿病ケトアシドーシスとはなんなのか

・呼吸障害や昏睡になるのは本当なのか、またどのような機序(メカニズム)で起こるのか

・診断基準はあるのか

といったところがあるでしょう。

そこで今回は、糖尿病性ケトアシドーシスの症状とpHとの関係について、また、治療の仕方も上記のことを踏まえてご紹介いたします。

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そもそも糖尿病ケトアシドーシスとは何なの?

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糖尿病ケトアシドーシスとは糖尿病患者が発症する可能性のある急性の代謝性合併症のことで、インスリンが極端に低下したり、インスリンと逆の作用をもつホルモンが増えすぎると発症するものです。

そこで、発症までの流れを整理してみると、まず、体内のインスリンが極端に不足すると、血液の中にあるブドウ糖を代謝できなくなってしまい、高血糖状態になります。

さらに、この状態になるとブドウ糖の代わりに脂肪を分解してエネルギーをつくり出すようになり、副産物でケトン体がつくられてしまうので、ケトン体が次々と血液中に増えていくことになるのです。

そうなると、高ケトン血症の状態になって血液が酸性になってしまい、様々な異常が発生するようになってしまいます。

要するに、糖尿病ケトアシドーシスとはインスリンが極度に低下することでブドウ糖がうまく分解されなくなって、代わりに脂肪から補うことになるけれど、副産物であるケトン体が血中に増えて酸性になってしまうということを意味しています。

◇ケトアシドーシスって何?

ちなみに、ケトアシドーシスとはケトンとアシドーシスが組み合わさった言葉となっています。

そして、アシドーシスとは血液を酸性に傾けようとする状態のことを意味していて、逆にアルカリ性に傾けようとすることをアルカローシスと言います。

つまり、このケトアシドーシスとはケトンによって血液が酸性に傾けられる状態のことを意味していて、病気そのものの名称ではないということです。

◇血液って何性なの?

正常な人の血液は、Ph7.4±0.05の弱アルカリ性となっています。

また、そのことを表すように血液を原料として作られている涙も弱アルカリ性となっているのです。

そして、ケトアシドーシスの状態を見極めるのにはこの血液のpHが重要なものとなってくるので、血液のpHを覚えておきましょう。

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糖尿病ケトアシドーシスの診断基準は何?

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糖尿病ケトアシドーシスの状態とは高血糖で、高ケトン血症になり、血液が酸性に傾いてる状態なので、以下の状態を調べることになります。

つまり、血糖の濃度が300mg/dl以上か、血中ケトン体は陽性か、血液のpHは7.30以下か、重炭酸イオン(HCO3-)が18mEq/l以下かを調べることになります。

また、血中ケトン体で陽性反応が出たとしてもアシドーシスの状態でなければ、糖尿病ケトアシドーシスとは言わないようです。

◇重炭酸イオン(HCO3-)って何?

突然出てきて驚いたかもしれませんが、この重炭酸イオンは血液が酸性に傾いているかを調べるために目印になるものなので、覚えておきましょう。

まず、血液が酸性に傾いた状態になると、体の中に酸である水素イオン(H+)が次々と増えていきます。

そして、この水素イオンをこのままではうまく排出する方法がないため、体の中にある重炭酸イオン(HCO3-)が水素イオン(H+)とくっついて、二酸化炭素という形で肺から排出される形にさせようとするのです。

つまり、この重炭酸イオン(HCO3-)は血液が酸性になるのを防ぐために働いているが、ケトアシドーシスになると次々と減少していくと考えてください。

ちなみに、その重炭酸イオンと水素イオンの式は以下のようになります。

CO2(二酸化炭素)+H2O(水)←H2CO3(炭酸)←HCO3-(重炭酸イオン)+H+(水素イオン)

したがって、血液が酸性になりH+(水素イオン)が増えてくると、上の反応が左の方に進行するため、それに応じてHCO3-(重炭酸イオン)が消費され、血中のHCO3-(重炭酸イオン)濃度が低下していくので、血中のHCO3-(重炭酸イオン)濃度を測ることで血中の酸性度合いがわかるのですね。

糖尿病ケトアシドーシスの症状は?

糖尿病ケトアシドーシスになりやすいのは、インスリンが不足しやすい1型糖尿病患者となっていますが、生活習慣病によって発病する2型糖尿病患者も糖分が非常に多い飲み物を飲み過ぎると発症する可能性があります。

そして、症状は高血糖の症状である喉が渇く・頻尿・疲労感・脱力感・脱水症状などと、糖尿病ケトアシドーシスの症状である吐き気・悪心・嘔吐・上腹部の痛みが発生し、低血圧と頻脈が併発して速く深い呼吸になってしまうことがあります。

また、症状が悪化すると意識レベルの低下や混濁が発生して、意識障害や昏睡などの症状が出るようになり、最悪死に至る場合もあります。

ちなみに、高血糖のときに昏睡状態になってしまうメカニズムを整理した図を下に示しますので、これを見ていただければ、どのようにして高血糖から意識障害になっているのかを視覚的に理解できると思います。

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(高血糖性昏睡の成立機序:https://mymed.jp/di/e4r.html)

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糖尿病ケトアシドーシスの治療方法は?

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糖尿病ケトアシドーシスの治療の基本は輸液によって水分とナトリウムやカリウムなどの電解質の補給を行い、インスリンの投与によって高血糖とケトアシドーシスを治します。

つまり、様々な症状を併発している状態なので、脱水症状をなくして、インスリン不足を補い、血糖をコントロールして、血液のpHをコントロールする必要があるということです。

ちなみに、糖尿病ケトアシドーシスは適切な処置をしないと死に至る危険性が高いので、速く深い呼吸といった症状がでたなら早めに主治医に連絡するようにしましょう。

また、意識障害になってしまうと自分の症状を説明できなくなってしまうので、万が一のために同居人には糖尿病であることを伝えて合併症のことも説明しておくようにしてください。

まとめ

以上、いかがだったでしょうか?

今回は、糖尿病性ケトアシドーシスの症状とpHとの関係について、また、治療の仕方もお伝えしました。

糖尿病性ケトアシドーシスとは、糖尿病患者の血中のインスリンが急激に減少することでケトンが増加して血液が酸性に傾く状態のことでしたね。

そして、診断基準は高血糖の状態なのか、高ケトン血症になっているか、そして血液が酸性に傾いてるかを調べることでした。

また、症状は高血糖の症状に加えて速く深い呼吸といったものが特徴で、症状が悪化すると意識が混濁して昏睡状態に陥ってしまい、最悪死に至るということでしたね。

そのため、この症状が少しでも出てきたら迅速に治療する必要があるので、すぐに主治医に相談する必要があるということでした。

最後に、糖尿病性ケトアシドーシスは死に至る危険性がある本当に危険な状態と言えるので、2型糖尿病の方でも糖質の摂りすぎには十分気を付けて絶対に発症させないようにしてくださいね。

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